変形性脊椎症や椎間板ヘルニアの犬の抱っこの仕方
犬が変形性脊椎症や椎間板ヘルニアを患っている場合、日常生活の中で特に注意すべきなのが「抱っこ」です。正しく抱っこをすることで、愛犬の痛みを軽減し、症状の悪化を防ぐことができます。本記事では、変形性脊椎症や椎間板ヘルニアの犬を安全に抱っこする方法や注意点について解説します。
変形性脊椎症や椎間板ヘルニアとは?
変形性脊椎症は、脊椎の老化によって骨の変形やトゲ(骨棘)ができる病気で、高齢の犬に多く見られます。一方、椎間板ヘルニアは、椎間板が飛び出して神経を圧迫し、痛みや麻痺を引き起こす病気です。特にダックスフンドやコーギーなどの胴長短足の犬種に多く発症します。
症状としては以下のようなものがあります。
- 歩き方がおかしい、足を引きずる
- 触られるのを嫌がる、痛がる
- 活動量が減る
- 後肢の麻痺やふらつき
これらの症状が見られる場合、すぐに動物病院を受診しましょう。
抱っこする際の基本ポイント
病気の犬を抱っこする際には、脊椎に負担をかけないようにすることが最も重要です。以下のポイントを意識しましょう。
- 背骨をまっすぐ保つ
- 犬の胴体が曲がらないように支える。
- 無理にひねったり、ねじれたりしないようにする。
- 急な動きを避ける
- ゆっくりと持ち上げ、ゆっくり下ろす。
- 突然の動作は痛みを悪化させる原因になります。
- 前足と後足をバランスよく支える
- 片手で胸を支え、もう片方の手でお尻を支える。
- 体全体をしっかりと支えることで、脊椎に余計な負担をかけない。
正しい抱っこの手順
1. 準備
抱っこする前に、犬がリラックスしていることを確認しましょう。痛みが強い場合は、無理に抱き上げず、タオルやクッションを使ってサポートする方法も検討してください。
2. 胸とお尻を支える
- 小型犬の場合
- 片手を犬の胸の下に入れる。
- もう片方の手を犬のお尻の下に入れる。
- そのまま優しく持ち上げ、背中がまっすぐになるように抱く。
- 中型犬・大型犬の場合
- 両腕を使って犬の胸と後ろ足をしっかり支える。
- 脊椎に負担がかからないように、まっすぐ持ち上げる。
- 重い犬の場合は、無理に抱えず、補助具(スリングやハーネス)を使う。
3. ゆっくりと下ろす
抱っこした状態から地面に降ろす際も、慎重に行いましょう。
- まず前足が地面につくようにし、その後ゆっくり後ろ足を下ろす。
- 無理な体勢で降ろすと、関節や背骨に負担がかかるので注意。
NGな抱っこの仕方
以下のような抱っこは、脊椎への負担が大きく、症状を悪化させる恐れがあります。
- 脇の下を持ってぶら下げるように抱える
- 前足だけで体を支えることになり、背骨に大きな負担がかかる。
- 後ろ足を持ち上げるだけの抱え方
- 前足が床についた状態でお尻を持ち上げると、背中に強い負担がかかる。
- 片手だけで持ち上げる
- 胴体がねじれやすく、痛みを引き起こす原因になる。
その他のケアポイント
1. 抱っこ以外の移動方法
変形性脊椎症や椎間板ヘルニアの犬は、無理に抱っこせずにスロープやカートを活用するのも有効です。特に車の乗り降りやソファへの移動時は、階段やジャンプを避けるためにスロープを設置すると良いでしょう。
2. 生活環境の見直し
- 滑りやすい床にはカーペットやマットを敷く。
- 高い場所からのジャンプを避けるためにステップを設置。
- 寒さで関節が硬くなるため、暖房や毛布で保温する。
3. 獣医師と相談しながらケアを進める
病気の進行状況に応じて、適切な治療やリハビリが必要です。動物病院で定期的に診察を受け、症状に合った管理方法を相談しましょう。
まとめ
変形性脊椎症や椎間板ヘルニアの犬を抱っこする際は、背骨に負担をかけないように慎重に行うことが大切です。「胸とお尻を支え、背中をまっすぐに保つ」**という基本を守りながら、愛犬が快適に過ごせるようサポートしてあげましょう。また、日常生活の中でも環境を整え、獣医師と連携しながら適切なケアを続けることが大切です。
愛犬の健康を守るために、ぜひ正しい抱っこの仕方を実践してみてください!
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