犬・猫の関節炎(変形性関節症)とは?原因・症状・治療法をわかりやすく解説
シニア期の犬や猫でよく見られる疾患のひとつが、**関節炎(変形性関節症)**です。年齢とともに関節の軟骨がすり減り、炎症や痛みが起こる病気で、ゆっくり進行するため初期には気づきにくいことが特徴です。
「最近なんとなく動きが鈍い」「寒い日に歩きたがらない」など、加齢のせいと思われがちな症状が、実は関節炎のサインであることも少なくありません。本記事では、原因や症状、治療法、家庭でできるケアについて分かりやすく解説します。
関節炎(変形性関節症)とは?
関節炎とは、関節の軟骨が摩耗し、骨同士がぶつかることで痛みや炎症が起こる病気です。
犬・猫の関節は加齢とともに少しずつ変化していき、軟骨の再生能力も低下します。
その結果、関節が変形し、動くたびに痛みを伴うようになるのが変形性関節症です。
発生しやすい部位は、
- 膝関節
- 股関節
- 肘関節
- 脊椎(腰周り)
などが多く、特に、日常的に負担のかかる四肢の関節はリスクが高いと言われています。
関節炎が起こる主な原因
関節炎は単に「歳のせい」だけで起こるわけではありません。以下のような要因が関係します。
● 加齢による軟骨の変性
シニア期になると軟骨の弾力が失われ、すり減りやすくなります。
● 肥満
体重が増えると関節への負担が大きくなり、関節炎が早く進行します。
● 過去のケガや関節疾患
膝蓋骨脱臼、前十字靭帯断裂、股関節形成不全などを経験した場合、二次的に関節炎が起こることがあります。
● 遺伝要因
大型犬では股関節や肘の形成不全が起こりやすく、若いうちから関節炎に進行することがあります。
関節炎で見られる症状
関節炎はゆっくり進行するため、初期のサインは見逃されがちです。主な症状には次のようなものがあります。
- 立ち上がりに時間がかかる
- 散歩の途中で座り込む
- 階段を嫌がる
- ジャンプをしなくなる(犬はソファ、猫は高所へ上がらない)
- 歩き方がぎこちない
- 朝や寒い日に痛みが強くなる(こわばり)
- 触れると嫌がる
初期では「なんとなく元気がない」「遊ばなくなった」といった変化だけのことも多く、シニア期に入ったらこまめに観察することが大切です。
治療方法:痛みの緩和と進行の抑制が中心
関節炎は完治が難しい病気ですが、適切な治療で痛みの緩和や進行の抑制が可能です。
● 消炎鎮痛剤
痛みや炎症を抑え、日常生活の質を改善します。
● サプリメント(グルコサミン・コンドロイチン・EPAなど)
軟骨の健康をサポートし、炎症を軽減する効果が期待できます。
● 体重管理
肥満は最大の悪化要因です。適正体重を維持するだけで症状が大きく改善することがあります。
● 運動療法・リハビリ
軽い散歩、温熱療法、ストレッチなどは筋力維持に有効です(獣医師の指導があると安心です)。
● 関節に負担をかける要因を改善する
滑り止めマットを敷く、段差を減らす、生活環境を整えるなどの工夫が役立ちます。
ご家庭でできるケアと予防
- 床にカーペットやマットを敷き「滑らない環境」を作る
- 太りすぎに注意する
- 適度な運動を継続する
- 寒い日は体を冷やさないよう配慮する
- シニア期に入ったら定期的に関節のチェックを受ける
毎日の小さな工夫が、症状の悪化を大きく防ぎます。
まとめ:早期発見で愛犬・愛猫の生活の質を守る
関節炎は年齢とともに誰にでも起こり得る病気ですが、早めに気づいて治療を始めることで、痛みを軽減し、元気に生活する時間を大きく伸ばすことができます。
歩き方や動作にいつもと違う様子が見られたら、ぜひ一度動物病院へご相談ください。
大切な家族である犬・猫が、快適に長く過ごせるようサポートいたします。
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レラ動物病院
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