猫の特発性膀胱炎とは?~症例紹介とケアのポイント~
こんにちは、レラ動物病院です。猫の膀胱炎はよく見られる病気ですが、その中でも原因がはっきりしない「特発性膀胱炎(FIC)」は、飼い主様にとって理解しにくい病気の一つです。今回は実際の症例を交えながら、FICの特徴やケアのポイントをご紹介します。
1. 症例紹介:4歳の雑種猫「ハルちゃん」
今回ご紹介するのは4歳の雑種猫、ハルちゃんです。飼い主様は「最近、何度もトイレに行くのにあまりおしっこが出ていない」「トイレ以外の場所でおしっこをする」と来院されました。元気や食欲はやや落ち着き気味でしたが、嘔吐や発熱はありませんでした。
診察では膀胱が少し硬めに触れ、尿検査では血尿が確認されました。一方で、細菌培養検査や超音波検査では明らかな感染症や結石は見つかりませんでした。このため、「特発性膀胱炎(FIC)」と診断されました。
2. 特発性膀胱炎(FIC)とは?
特発性膀胱炎とは、明確な原因が見つからない膀胱炎のことを指します。尿路感染症や結石などが原因ではない場合に診断されます。
- 年齢・性別
若い成猫に多く、特にオス猫に発症が多い傾向があります。 - 症状
頻尿、血尿、排尿困難、トイレ以外での排尿、痛がるしぐさなど。 - 原因
明確な原因はわかっていませんが、ストレスや環境の変化が関係していると考えられています。 - 特徴
再発しやすく、ストレス管理や環境改善が治療の中心となります。
ハルちゃんの場合も、環境や生活習慣に強い変化があった時期に症状が出ていました。
3. 診断の流れ
FICの診断は、まず感染症や結石など他の原因を除外することから始まります。
- 尿検査
血尿や結晶の有無、pHを確認。 - 尿培養
細菌感染の有無を確認します。FICでは通常陰性です。 - 画像検査
膀胱結石や腫瘍がないかを超音波やレントゲンで確認します。 - 症状の確認
排尿回数、トイレ以外の排尿、痛みの有無を飼い主から聞き取ります。
FICは「除外診断」によって確定される病気で、明確な病原がないため、飼い主様が症状の変化を注意深く観察することが重要です。
4. 治療と管理
FICの治療は、症状の緩和と再発防止が中心です。
- 環境改善
猫のストレスを減らすために、静かな場所の確保、トイレの数や配置の工夫、キャットタワーや遊び場を増やすことが効果的です。 - 水分摂取の増加
ウェットフードや流れる水飲み器を活用し、尿量を増やして膀胱内の刺激を減らします。 - 症状緩和薬
痛みや不快感が強い場合は、抗炎症薬や鎮痛薬が使われることもあります。 - 再発予防
生活リズムの安定や飼い主とのコミュニケーション、ストレスの少ない環境を意識することが重要です。
ハルちゃんには、まず水分摂取量を増やすためのウェットフード追加と、トイレ環境の改善を実施しました。症状は数日で軽減し、再発防止のために定期的な生活環境のチェックも続けています。
5. 飼い主ができること
FICは再発しやすい病気です。飼い主様が日常で気をつけるポイントは以下の通りです。
- トイレは複数用意し、清潔に保つ
- 水分を多く摂らせる工夫をする
- 猫が落ち着ける場所や遊び場を確保する
- 排尿回数や血尿の有無を記録し、異常があれば早めに相談する
日常のちょっとした変化に注意することが、FICの再発を防ぐ大きなポイントになります。
6. まとめ
猫の特発性膀胱炎(FIC)は原因がはっきりしない膀胱炎で、ストレスや環境が大きく関係しています。ハルちゃんの症例から学べることは以下です。
- 若い成猫、特にオス猫に多い
- 頻尿、血尿、トイレ以外での排尿がサイン
- 環境改善と水分摂取の工夫で症状を緩和・再発防止できる
FICは繰り返すことがありますが、早めに対応すれば猫の生活の質を守ることができます。猫の膀胱の健康を守るために、排尿の様子や生活環境のチェックを習慣にしましょう。
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