猫の顎に黒いできもの、本猫は気にしていない場合の対応
こんにちは、レラ動物病院です。今回は「猫の顎に黒いできものがあるけれど、本猫は気にしていない」という症例をご紹介します。猫の皮膚のできものは、飼い主が気づいても本人は気にしないことが多く、そのため放置されがちです。しかし、見た目だけで判断せず、原因を確認することが大切です。
1. 症例紹介:8歳の雑種猫「チャコちゃん」
今回の症例は8歳の雑種猫、チャコちゃん。飼い主様が「顎の下に黒いぽつんとしたできものがあるけれど、チャコは全く気にしていない」と来院されました。
触診では、顎の下に直径約5mmの黒い小さな隆起がありました。痛がったり、かゆがったりはせず、食欲や元気にも変化はありませんでした。飼い主様は、悪いものではないか心配されていました。
2. 猫の顎の黒いできものの原因
猫の顎に黒いできものができる原因はいくつかあります。
- 猫ニキビ(顎下皮膚炎)
最も多い原因で、黒い粒状の物質は皮脂や角質の詰まりです。多くの場合、本人は痛がらないこともあります。 - 脂肪腫や良性腫瘍
皮下に柔らかいしこりができることがあります。成長が遅く、猫自身は気にしないことが多いです。 - 悪性腫瘍(稀)
黒色腫や扁平上皮癌など、まれに悪性の可能性もあります。急に大きくなる、出血する、周囲の皮膚が炎症を起こす場合は注意が必要です。 - 外傷や汚れ
顎にできた黒い汚れやカサブタに見えることもあります。
チャコちゃんの場合は、黒い粒状物質が皮脂や角質の詰まりで、いわゆる「猫ニキビ」の典型的な症状でした。
3. 診察と検査
黒いできものがある場合は、まず見た目と触診で状態を確認します。必要に応じて以下の検査を行います。
- 細胞診
しこりの内容物を顕微鏡で確認し、炎症か腫瘍かを判断します。 - 皮膚培養検査
細菌感染の有無を調べ、抗生物質が必要か確認します。 - 必要に応じて組織生検
悪性の可能性が疑われる場合は組織を採取して詳しく検査します。
チャコちゃんは細胞診で皮脂や角質の詰まりが確認され、炎症や腫瘍の心配はありませんでした。
4. 治療とケアのポイント
猫ニキビの場合は、症状が軽く本人が気にしていなければ、すぐに治療が必要なことは少ないです。しかし、悪化や二次感染を防ぐためのケアが推奨されます。
- 患部の清潔保持
ぬるま湯で濡らしたガーゼやコットンで、週1〜2回優しく拭きます。アルコールは刺激になるため避けます。 - 塗り薬の使用
必要に応じて、抗菌性の軟膏を獣医師の指示で塗布します。 - 食器や環境の管理
プラスチック製の食器は細菌が繁殖しやすいため、陶器や金属製の食器に変えると再発を防ぎやすくなります。 - 定期的な観察
しこりの大きさや色、炎症の有無を定期的に確認します。
チャコちゃんには、まず清潔保持と食器の見直しを実施し、1か月後には黒い粒状物質は減少しました。本人は全く気にする様子がなく、元気も変わりません。
5. 注意すべきサイン
猫の顎のできものは多くが良性ですが、次のサインがある場合は早めの受診が必要です。
- 急に大きくなる、色が濃くなる
- 出血や膿が出る
- 猫が痛がる、かゆがる
- 食欲不振や元気の低下
こうした場合は、細胞診や生検などで詳しく検査し、早期に適切な対応を行うことが重要です。
6. まとめ
猫の顎に黒いできものがあっても、本人が気にしていない場合は多くが猫ニキビや軽度の皮脂の詰まりです。チャコちゃんの症例から学べるポイントは以下です。
- 猫ニキビは良性で本人が気にしないことも多い
- 患部の清潔保持と食器の管理で予防・改善が可能
- しこりの変化や炎症のサインがあれば早めに受診
見た目だけで安心せず、定期的な観察とケアを行うことで、猫の顎の健康を守ることができます。少しの工夫で、猫も飼い主様も安心です。
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