犬に多い口腔疾患とは?

犬に多い口腔疾患とは?

~大切な愛犬のために知っておきたいお口の健康~

犬にとって、口腔の健康は体全体の健康にも直結しています。
しかし、犬は痛みを隠してしまう動物。
症状が目に見えるころには、かなり進行していることも少なくありません。

今回は、犬に多い代表的な口腔疾患と、飼い主さんが注意すべきポイントを紹介します!


1.歯周病(ししゅうびょう)

■ 犬の口腔疾患で最も多いトラブル

犬の3歳以上の約8割が、すでに歯周病だと言われています。
歯垢(しこう)が歯石(しせき)となり、そこに歯周病菌が繁殖して炎症を引き起こします。

【主な症状】

  • 口臭がひどくなる
  • 歯ぐきが赤く腫れる
  • 歯がぐらつく、抜ける
  • ごはんを食べづらそうにする

【注意点】
放置すると、歯周病菌が血流に乗って、心臓病・腎臓病など命に関わる病気を引き起こす可能性もあります。


2.破折(はせつ)・歯の欠け

■ 噛む力が強い犬種は要注意

硬いおもちゃや骨、おやつをかじって歯が割れたり欠けたりすることがあります。
特に、ラブラドールレトリバーやジャーマンシェパードなど、噛む力が強い犬種に多いです。

【主な症状】

  • 硬いものを嫌がる
  • 食欲が落ちる
  • 顔の片側を触られるのを嫌がる

【注意点】
歯が割れたまま放置すると、歯髄(しずい)が感染し、**膿瘍(のうよう)**や顔の腫れを引き起こします。


3.乳歯遺残(にゅうしいざん)

■ 小型犬によくみられる

通常、生後6か月までに乳歯から永久歯に生え変わりますが、
乳歯が抜けずに残ることを乳歯遺残といいます。
トイプードルやチワワなどの小型犬種に多く見られます。

【主な症状】

  • 歯が二重に並んでいる
  • 歯並びが悪くなる
  • 歯垢・歯石がたまりやすい

【注意点】
放置すると歯周病のリスクが高まるため、抜歯が必要なことがほとんどです。


4.歯肉炎・口内炎

■ 若い犬にも見られるトラブル

歯ぐきのみに炎症が起きた状態を歯肉炎
口の中全体に炎症が広がったものを口内炎と呼びます。

【主な症状】

  • 歯ぐきが赤い
  • 口臭がきつくなる
  • よだれが増える
  • 食べたがらない、食べると痛がる

【注意点】
細菌感染だけでなく、免疫異常や慢性疾患に関連していることもあります。


5.口腔内腫瘍

■ 早期発見が難しい疾患

口の中にも、良性・悪性の腫瘍ができることがあります。
悪性黒色腫(メラノーマ)や扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)などは、進行が早く予後が悪いものも。

【主な症状】

  • 口内のしこり、出血
  • 顔の変形
  • 口臭が強い
  • 食欲不振、体重減少

【注意点】
定期的な口腔チェックが早期発見につながります。


6.飼い主さんが気づくべきサイン

犬は口の痛みを訴えることが難しいため、行動の変化に注目しましょう。

  • 食べ方が遅くなった
  • 片側だけで噛む
  • 硬いおもちゃを噛まなくなる
  • よだれが増える
  • 口を気にして前足でこすろうとする

こんな仕草が見られたら、できるだけ早く動物病院へ相談しましょう。


まとめ ~犬の歯を守ることは、体全体を守ること~

犬の口腔疾患は、進行すると治療が大変です。
何より、愛犬が痛みに耐える時間を少しでも減らすために、
普段から

  • 毎日の歯みがき
  • デンタルガムやデンタルトイの活用
  • 定期的な歯科健診
    を心がけましょう。

「口のトラブルは老犬だけ」と思わず、
若い頃からのケアが愛犬の健康寿命を延ばすカギとなります。

楽しく歯みがき習慣を身につけて、愛犬の笑顔を守っていきましょう!🐶🦷✨

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