眼の下が腫れている…もしかして歯が原因?放置は危険!
「最近、うちの子の眼の下がぷくっと腫れてる…」
「痛がる様子はないけど、少し膨らんでいる気がする」
このような症状、特に犬や猫で見られることがあります。
実はこれ、**歯の病気(歯周病や根尖膿瘍など)**が原因であることが多く、放っておくと重大なトラブルに発展することも。
今回は、眼の下の腫れが歯の病気とどう関係しているのか、放置するとどうなるのか、早期治療の重要性について解説します。
眼の下が腫れるのは、なぜ?
犬や猫の顔には、眼のすぐ下あたりに上顎の奥歯(特に第4前臼歯=上顎第4前臼歯)があります。
この歯の根っこ(歯根)が感染を起こすと、その炎症が歯の周囲の骨に広がり、膿がたまって皮膚の下に腫れとして現れるのです。
この状態を「根尖膿瘍(こんせんのうよう)」と呼びます。
歯が原因で起こる腫れの特徴
✔ 片側だけ眼の下がぷくっと膨らんでいる
✔ 触ると痛がる、または避ける
✔ 赤みや熱感がある場合も
✔ 進行すると膿が皮膚から破れて出てくることがある
✔ 目のトラブルのように見えるが、目そのものは正常
放置するとどうなる?4つのリスク
1. 皮膚が破れて膿が出てくる(瘻管形成)
膿がたまると、出口を求めて皮膚を突き破り、穴(瘻管:ろうかん)が開きます。
そこから膿が常ににじみ出たり、繰り返し腫れたりをくり返すようになります。
2. 顎の骨が溶ける
慢性的な歯根の感染は、歯を支える顎の骨(歯槽骨)を破壊します。
これが進行すると、歯がグラグラして自然に抜け落ちたり、顔の変形を起こすことも。
3. 眼や鼻への波及
歯のすぐ近くには眼や鼻の構造があります。
感染が広がると、眼球の後ろに膿がたまったり(眼窩膿瘍)、鼻腔炎を引き起こしたりする可能性があります。
4. 全身状態の悪化
慢性的な感染は、免疫力の低下や食欲不振、発熱などを招き、高齢動物では命に関わるケースもあります。
特に持病がある子(心臓病、腎臓病など)は要注意です。
こんな症状があれば早めに受診を!
☑ 食欲はあるのに、カリカリを食べにくそうにしている
☑ 顔を触られるのを嫌がる
☑ 顔の片側だけ腫れている
☑ よだれが多い、口臭が強い
☑ 片側の眼の下に赤みや膿がある
これらの症状があれば、**歯の根っこのトラブル(歯根膿瘍)**の可能性が高いです。
治療法は?歯科処置が必要!
1. X線やCTで歯の根の状態をチェック
眼の下の腫れの原因が歯かどうかを判断するために、レントゲン検査や口腔内の視診を行います。
場合によっては歯科用レントゲンやCTが必要です。
2. 感染源となる歯の抜歯または根管治療
感染の原因になっている歯は、抜歯が必要です。
犬や猫では、人間のような根管治療(歯の神経を残して治す治療)はあまり一般的ではなく、抜歯が最も確実な治療となります。
3. 抗生剤や痛み止めの使用
一時的に抗生物質で炎症を抑えることもありますが、歯そのものを処置しないと再発します。
根本治療としての抜歯や外科的処置が不可欠です。
予防のカギは「日頃のデンタルケア」
眼の下の腫れを予防するには、まず歯を清潔に保つことが重要です。
以下のようなケアを取り入れましょう。
🪥 歯磨き習慣(できれば毎日)
🦴 デンタルガムやサプリの活用
🧼 定期的な歯科健診(1年に1~2回のスケーリング)
【まとめ】眼の下の腫れ、放置せずにすぐ病院へ!
✅ 眼の下の腫れは、歯の根の感染が原因のことが多い
✅ 放っておくと、皮膚が破れて膿が出たり、骨や眼にまで広がる可能性も
✅ 抜歯などの歯科処置で根本から治療する必要がある
✅ 予防には日頃のデンタルケアがとても大切!
「ただの腫れだからそのうち治るかも…」と様子を見てしまう前に、
違和感を感じたら早めに動物病院へご相談ください!
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レラ動物病院
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セカンドオピニオンの方は事前に連絡ください。
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