歯石がつきやすい子には体質の違いがある?
愛犬や愛猫の口の中を見たとき、「もう歯石がついてる!?」「前に取ったのにまたすぐに…」と驚かれたことはありませんか?
同じフードを食べていても、歯石がつきやすい子とつきにくい子がいるのはなぜ?
今回は、歯石がつきやすい体質とその要因、予防方法について解説します。
歯石とは?どうやってできるの?
歯石は、歯の表面にたまった歯垢(プラーク)が石のように固まったものです。
歯垢は食べかすや細菌の塊で、およそ2〜3日で石灰化し、歯石になります。
いったん歯石になると、ブラッシングでは取れず、動物病院での処置が必要になります。
歯石がつきやすい体質って?
実は、歯石のつきやすさには体質や生活習慣が大きく関わっています。
以下のような要因があると、歯石がつきやすくなります。
1. 唾液の性質や分泌量
唾液には、口腔内を洗い流す自浄作用や抗菌作用があります。
しかし、唾液の量が少ない、あるいは粘度が高い子は、歯垢が残りやすく歯石がつきやすい傾向があります。
また、唾液中のカルシウム濃度が高い場合、歯垢が早く石灰化して歯石になりやすいとも言われています。これはまさに“体質”の一つです。
2. 口の中が小さい・歯並びが悪い
小型犬や短頭種(チワワ、シーズー、パグ、ペルシャ猫など)は、歯が密集していたり、噛み合わせが悪かったりすることが多く、歯垢がたまりやすくなります。
特に犬歯や奥歯の周りは汚れが残りやすいため、**歯石ができやすい“ホットスポット”**になります。
3. 体質的に免疫が弱い・口腔内が炎症を起こしやすい
アレルギー体質や免疫系の弱い動物では、口腔内の炎症が起きやすく、細菌が増えやすい環境になっています。
これにより歯垢の形成が早まり、結果として歯石も付きやすくなる傾向にあります。
4. 食生活とガムの有無
ドライフードとウェットフードでは、ドライフードの方が歯垢がつきにくいとされています。
また、デンタルガムやおもちゃを使っているかどうかも、歯石のつきやすさに影響します。
一方で、ガムを噛まない、丸飲みしてしまう子や、やわらかいものばかり食べている子は要注意です。
5. 年齢
年齢とともに代謝が落ちたり、唾液の質が変化したりして、シニアになると歯石がつきやすくなる傾向があります。
また、若い頃は問題なかったのに、シニア期に入ってから急に歯石が目立ってくるというケースも少なくありません。
歯石がつきやすい子のための対策
では、どうすれば歯石の付着を防げるのでしょうか?
1. 毎日の歯みがき習慣
一番の基本は毎日の歯みがきです。
歯石になる前の歯垢の段階で取り除くことが最も効果的です。
最初はガーゼで拭くところから始め、慣れてきたら専用の歯ブラシを使いましょう。
2. デンタルガム・おもちゃの活用
噛むことで歯垢を落とす手助けになります。
ただし、あまりに硬すぎるもの(骨やヒヅメなど)は歯を傷つける原因になるので注意が必要です。
獣医師推奨のガムや、VOHC(米国獣医口腔衛生協議会)認定商品を選ぶのもおすすめです。
3. 定期的なスケーリング(歯石除去)
すでに歯石がついてしまった場合は、麻酔下でのスケーリング(歯石除去)処置が必要になります。
歯石をそのままにしておくと、歯周病や顎の骨の感染、内臓疾患にまで発展する可能性があります。
症状がなくても、年1回のデンタルチェックを受けることで、歯石の早期発見・早期対応が可能になります。
歯石のつきやすさは「体質+生活習慣」
歯石がつきやすいかどうかは、その子の体質(唾液の質・口腔環境)と、日常のケアの有無が大きく関わっています。
体質だけのせいにせず、毎日のケアと定期的な病院でのチェックを組み合わせることが大切です。
まとめ
✅ 歯石の付きやすさには「唾液の性質」「歯並び」「食生活」などの体質が関係
✅ 小型犬や短頭種は特に注意が必要
✅ 毎日の歯みがき、ガムの活用、定期的なチェックで予防が可能
「うちの子、どうしてこんなに歯石が早いの?」と感じている飼い主さんも、体質と上手につき合いながら、早めのケアを心がけましょう。
気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談くださいね!
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