前立腺癌の初期症状とは?愛犬・愛猫のチェックポイント

前立腺癌の初期症状とは?愛犬・愛猫のチェックポイント

前立腺癌(ぜんりつせんがん)は、犬では比較的まれですが、進行が早く転移しやすい悪性腫瘍の一つです。
特に高齢のオス犬で発症しやすく、初期症状がわかりにくいため、気づいたときには病状が進行していることも少なくありません。

そこで今回は、前立腺癌の初期症状やチェックポイントについて詳しく解説します。


1. 【前立腺癌とは?】

前立腺癌は、前立腺に発生する悪性腫瘍です。

犬の前立腺癌は発症率が低い(全体の腫瘍の1~2%程度)
しかし、進行が早く、リンパ節・肺・骨への転移が多い
猫ではさらに発生率が低いが、発症するとやはり悪性の傾向が強い

去勢の有無に関係なく発症するため、去勢済みの犬でも注意が必要です。


2. 【前立腺癌の初期症状チェックポイント】

前立腺癌は、初期症状が軽いため見逃されがちですが、次のような変化が見られたら要注意です。

排尿の異常(泌尿器の症状)

おしっこの回数が増える(頻尿)
おしっこが出にくそうにしている(排尿困難)
血尿が出る
おしっこの勢いが弱くなった

前立腺が腫れることで尿道が圧迫され、排尿しづらくなったり、血尿が出たりすることがあります。

排便の異常(消化器の症状)

便の形が細くなる(リボン状になる)
排便時にいきむ回数が増える(排便困難)
便秘気味になる

前立腺が大きくなると、直腸を圧迫して便の形が変わることがあります。

歩き方・動作の異常(神経の症状)

後ろ足がもつれる、歩き方が不安定になる
腰を痛がる、動きたがらない
後ろ足を引きずるように歩く

前立腺癌が骨に転移すると、腰や後ろ足に痛みが出ることがあります。

全身の症状(一般的な異変)

食欲が落ちる
体重が減る
元気がなくなる

腫瘍が進行すると、全身状態が悪化し、食欲不振や体重減少が見られることがあります。


3. 【前立腺癌と間違えやすい病気】

前立腺癌の症状は、他の病気と似ていることが多いため、自己判断は禁物です。

病気の種類主な症状違い
前立腺肥大(良性)排尿困難・便秘良性のため転移しない
前立腺炎(感染症)発熱・痛み・血尿抗生剤で治療可能な場合が多い
膀胱炎頻尿・血尿抗生剤で治るが、前立腺癌と併発することも

「ただの膀胱炎かも?」と思っても、症状が長引く場合は精密検査を受けることが重要です。


4. 【前立腺癌の診断方法】

動物病院では、以下の検査を行い、前立腺癌を診断します。

直腸検査(前立腺の大きさや硬さを確認)
超音波検査(腫瘍の有無や大きさを確認)
X線検査(転移のチェック)
尿検査(感染や血尿の確認)
CT・MRI検査(より詳しい画像診断)


5. 【前立腺癌の治療方法】

前立腺癌の治療は、腫瘍の進行度や転移の有無によって選択されます。

手術(外科的切除)

前立腺全摘出はリスクが高く、実施できるケースが限られる
転移のない初期段階なら、一部摘出が可能な場合も

放射線治療

手術が難しい場合に、放射線を照射して腫瘍の成長を抑える
痛みを軽減する目的でも使用される

抗がん剤治療

転移を遅らせる目的で使用されることが多い
効果は限定的だが、組み合わせることで延命が可能な場合も

緩和ケア(痛みを和らげる治療)

ステロイドで炎症を抑え、腫瘍の進行を遅らせる
鎮痛剤を使い、生活の質を維持する


6. 【前立腺癌の予後と注意点】

前立腺癌は進行が早く、転移しやすいため、早期発見が重要です。
しかし、手術が難しいケースも多く、平均余命は数か月~1年程度とされています。

ただし、放射線治療や抗がん剤を組み合わせることで、症状を緩和しながら生活の質を保つことも可能です。


【まとめ】

前立腺癌の初期症状は排尿・排便の異常、後ろ足のもつれ、体重減少など!
「便が細くなった」「おしっこが出にくい」などの異変があれば要注意!
膀胱炎や前立腺肥大と間違えやすいので、早めの検査が大切!
治療は手術・放射線・抗がん剤・緩和ケアなど、症状に応じて選択!

前立腺癌は早期発見が難しい病気ですが、初期の小さなサインを見逃さないことが重要です。
愛犬・愛猫の健康を守るために、日頃からトイレや歩き方の変化に気をつけましょう

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