脳腫瘍は痛いの?犬や猫の症状と治療について

脳腫瘍は痛いの?犬や猫の症状と治療について

犬や猫の脳腫瘍は、高齢になるほど発症リスクが高まる病気の一つです。しかし、飼い主さんにとって気になるのは、「脳腫瘍になると痛みを感じるのか?」ということではないでしょうか?

今回は、脳腫瘍の痛みの有無、症状、診断方法、治療法について詳しく解説します。


1. 【脳腫瘍とは?】

脳腫瘍とは、脳内にできる腫瘍(できもの)のことです。腫瘍には、良性と悪性のものがあり、発生部位や種類によって症状が異なります。

犬や猫の脳腫瘍は、特に高齢の個体で発生しやすいとされています。

原発性脳腫瘍(脳そのものから発生する)
転移性脳腫瘍(体の他の部位のがんが脳に転移する)

いずれも、腫瘍が大きくなるにつれて脳に影響を与え、さまざまな症状を引き起こします。


2. 【脳腫瘍は痛いのか?】

◇ 脳自体は痛みを感じない

実は、脳そのものには痛覚(痛みを感じる神経)がほとんどありません。 そのため、腫瘍ができても直接「痛い」と感じることはないと考えられています。

しかし、腫瘍が周囲の組織を圧迫することで、間接的に痛みを引き起こすことがあります。


3. 【脳腫瘍で痛みが生じるケース】

腫瘍が頭蓋内圧(脳圧)を上昇させる場合

脳腫瘍が大きくなると、脳圧(頭蓋骨内の圧力)が上昇する
脳圧の上昇によって、頭痛に似た症状が起こる可能性がある
人間の脳腫瘍では「頭痛」が症状の一つとされており、犬や猫でも同様の不快感がある可能性が高い

腫瘍が神経を圧迫する場合

三叉神経(顔の感覚を司る神経)に影響があると、顔周りに痛みが生じる可能性がある
脳幹や脊髄に近い腫瘍の場合、首や背中に痛みが出ることもある

炎症や出血が起こる場合

腫瘍の成長によって、脳内で出血や炎症が起こると痛みが発生することがある
脳出血を伴う場合、意識レベルの低下や発作が見られることがある


4. 【脳腫瘍の主な症状】

脳腫瘍が進行すると、次のような症状が見られることがあります。

性格の変化(怒りっぽくなる、ぼんやりする)
ふらつきやバランスを崩す
視力の低下(壁にぶつかる、目が見えない様子)
食欲低下や元気消失
発作(てんかん発作のようなけいれん)
頭を押しつける(頭痛の可能性)

特に、「頭を壁や床に押しつける行動」は、頭痛や違和感を感じているサインの可能性があります。


5. 【脳腫瘍の診断方法】

動物病院では、以下の方法で脳腫瘍を診断します。

神経学的検査(歩き方や反射のチェック)
レントゲン検査(頭蓋骨の異常の確認)
MRI・CT検査(脳の詳細な画像診断)

MRIやCT検査を行うことで、腫瘍の大きさや場所を特定することができます。


6. 【脳腫瘍の治療方法】

脳腫瘍の治療には、以下の選択肢があります。

外科手術(摘出手術)

脳腫瘍が取り除ける場合、手術が第一選択となることが多い
ただし、場所によっては手術が難しいこともある

放射線治療

手術が難しい場合に、放射線を照射して腫瘍を縮小させる
比較的高齢の犬猫でも負担が少ない治療法

抗がん剤治療

血液を介して広がる腫瘍の場合、抗がん剤が効果を発揮することがある
脳腫瘍では、効果が限定的なこともある

緩和ケア(痛みや症状を和らげる治療)

ステロイド剤を使って脳の炎症を抑える
鎮痛剤を使い、痛みを軽減する
発作を抑える抗けいれん薬を使用する

腫瘍の種類や進行度によって、適切な治療法が選ばれます。


7. 【脳腫瘍の予後と生活の質】

治療によって症状を和らげることは可能
放射線治療や手術で寿命を延ばせるケースもある
緩和ケアを行いながら、できるだけ快適な生活をサポートすることが大切

脳腫瘍の進行具合によっては、数か月から1年以上の生存期間が期待できる場合もあります。


【まとめ】

脳腫瘍そのものは痛みを感じないが、脳圧の上昇や神経の圧迫によって痛みを伴うことがある!
特に「頭を押しつける」「発作」「ふらつき」などの症状は要注意!
MRIやCT検査で診断し、手術・放射線・抗がん剤などの治療を選択!
痛みを抑えるために、ステロイドや鎮痛剤を使った緩和ケアも重要!

脳腫瘍は発見が遅れると治療が難しくなることもあります。「最近様子がおかしい」「頭を押しつける仕草をする」などの異変を感じたら、早めに動物病院を受診しましょう!

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