猫白血病ウイルス(FeLV)がリンパ腫の発症に関与している理由

猫白血病ウイルス(FeLV)がリンパ腫の発症に関与している理由は、FeLVが猫の免疫系に直接影響を与えるウイルスであり、その感染がリンパ球(免疫細胞)に異常を引き起こし、がん化を促進するためです。具体的には以下のメカニズムが考えられています。

1. FeLVが免疫系に与える影響

FeLVは、レトロウイルス科に属するウイルスで、主にリンパ球という免疫系の細胞に感染します。このウイルスは、リンパ球に感染した後、細胞のDNAに組み込まれ、増殖します。その結果、感染した細胞が異常に増殖したり、免疫系の機能に影響を与えたりします。

2. 免疫系の変調とがん化

FeLVに感染すると、リンパ球などの免疫細胞が異常に増殖することがあります。異常な増殖が続くと、これらの細胞ががん化し、リンパ腫が発症するリスクが高まります。リンパ腫は、これらの異常なリンパ球が腫瘍として集まることで発症します。特に、FeLVは腫瘍形成を促進する働きがあることがわかっており、ウイルスに感染している猫では、リンパ腫の発症率が高くなるのです。

3. FeLVによる免疫抑制

FeLVはまた、猫の免疫系を抑制する作用もあります。免疫系が弱くなると、正常な細胞の監視機能が低下し、がん化した細胞を排除できなくなるため、リンパ腫などのがんが進行しやすくなります。感染初期には、ウイルスが免疫系に軽微な障害を引き起こすだけですが、慢性化することで免疫力が大きく低下し、がんが発生するリスクが増加します。

4. FeLVとリンパ腫の関係

FeLVによって引き起こされるリンパ腫は、特に猫の消化器系(胃や腸)、、またはリンパ節に発生することが多いです。FeLV陽性の猫は、FeLV陰性の猫よりもリンパ腫を発症する確率が圧倒的に高いことが、複数の研究で確認されています。

5. FeLVワクチンと予防

FeLVの感染を予防するためには、ワクチン接種が最も効果的な方法です。FeLVワクチンを接種することで、猫がこのウイルスに感染するリスクを大幅に低減できるため、リンパ腫をはじめとするFeLV関連の疾患を予防することが可能です。特に、屋外に出ることが多い猫や、複数の猫がいる家庭では、FeLVワクチンの接種が推奨されています。


まとめ

FeLVは猫の免疫系に感染し、リンパ球が異常に増殖することによってリンパ腫を引き起こすリスクが高まります。このため、FeLV陽性の猫ではリンパ腫をはじめとする悪性腫瘍が発症することが多く、早期の予防やワクチン接種が重要です。

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