腫瘍の見た目で悪性か判断できる? 〜犬や猫の飼い主様が知っておきたいポイント〜
愛犬や愛猫に「しこり」や「できもの」を見つけると、飼い主様は「これは悪性の腫瘍ではないか」と心配になることでしょう。特に、腫瘍が大きかったり、赤く腫れていたりすると不安が募るものです。では、腫瘍の「見た目」だけで悪性かどうか判断できるのでしょうか?今回は、腫瘍の見た目と悪性の可能性について詳しく解説します。
1. 腫瘍の「見た目」だけで悪性か判断できる?
結論から言うと、腫瘍の見た目だけで悪性かどうかを正確に判断することはできません。
しかし、見た目の特徴から「悪性の可能性が高い腫瘍」と「良性の可能性が高い腫瘍」の判断に役立つ場合があります。
2. 悪性腫瘍の可能性が高い見た目の特徴
以下の特徴が見られる場合、悪性腫瘍の可能性があるため、早めに動物病院に相談することが重要です。
- 急速に大きくなっている
- 表面がただれている、潰瘍がある
- しこりが硬く、皮膚や周囲の組織に癒着している
- しこりの境界が不明瞭で広がっている
- 押すと痛がる、出血や膿が出る
- 短期間でしこりの色が変わったり、腫れが悪化している
特に「急激に大きくなる腫瘍」は悪性の可能性が高いため、注意が必要です。
3. 良性腫瘍の可能性が高い見た目の特徴
一方で、以下の特徴が見られる場合は、比較的良性腫瘍の可能性が高い傾向があります。
- 長期間サイズが変わらない
- しこりの境界がはっきりしている
- 触ると柔らかく、動かせる
- 痛みがない
- 表面が滑らかで皮膚の色に変化がない
ただし、良性に見えても、放置すると大きくなったり、悪性に変化するケースもあるため注意が必要です。
4. 悪性かどうかを判断するための検査
腫瘍が悪性かどうかは、動物病院での検査が最も確実です。主に以下の方法が用いられます。
■ 細胞診(さいぼうしん)
- 針を刺して腫瘍の細胞を採取し、顕微鏡で観察します。
- 比較的簡単に行えるため、初期検査として広く用いられています。
■ 生検(バイオプシー)
- 腫瘍の一部を切り取って詳しく検査します。
- 組織の構造まで確認できるため、より正確な診断が可能です。
■ 血液検査
- 特定の腫瘍マーカーが検出されることで、腫瘍の種類や進行度がわかる場合があります。
■ 画像診断(X線検査・超音波検査・CT検査など)
- 腫瘍の大きさや広がり、転移の有無などを確認します。
これらの検査を組み合わせることで、腫瘍の性質を詳しく把握できます。
5. 放置せず、早めの診察が大切
「しこりが小さいから大丈夫」「痛がっていないから放っておこう」と思っているうちに、腫瘍が進行するケースもあります。
特に、以下のような変化が見られた場合は、できるだけ早く獣医師に相談しましょう。
- しこりが急に大きくなった
- 出血や膿が出てきた
- ペットがしきりに舐めたり、かいたりしている
- しこりの周辺が赤く腫れている
早期発見・早期治療が、ペットの健康を守るうえで非常に重要です。
6. 腫瘍以外で「しこり」の原因になるもの
腫瘍以外にも、以下の原因で「しこり」ができることがあります。
- 脂肪腫(しぼうしゅ):皮膚の下にできる柔らかい良性のしこり
- 膿瘍(のうよう):傷や感染が原因で膿がたまった状態
- 粉瘤(ふんりゅう):皮膚の下に皮脂などがたまることでできる良性のしこり
これらは腫瘍とは異なり、治療や対処方法が異なるため、診察での確認が重要です。
7. まとめ
腫瘍の見た目だけで「悪性か良性か」を判断するのは難しく、早めの検査が何よりも大切です。
見た目に異変がなくても、腫瘍が進行している場合もありますので、「気になるしこり」を見つけたら早めに動物病院へご相談ください。
ペットの健康を守るためには、定期的な健康チェックと、しこりを見つけた際の迅速な対応が重要です。飼い主様が安心して過ごせるよう、私たち動物病院がしっかりサポートいたします。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
レラ動物病院
〒001-0907
北海道札幌市北区新琴似7条9丁目5−8
011-769-2500
セカンドオピニオンの方は事前に連絡ください。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-