犬猫が食欲無いのに太った?考えられる原因とその対処法

犬猫が食欲無いのに太った?考えられる原因とその対処法

はじめに

愛犬や愛猫が食欲をなくしているのに、体重が増えていることに気づくと、飼い主としては驚きや心配を感じることでしょう。食欲不振と体重増加は一見矛盾しているように思えますが、実は犬や猫の体に起きているいくつかの原因が関係しています。特に腫瘍が影響している場合もあり、早期の対応が重要です。この記事では、食欲がないのに太った理由やその背後に潜む病気、腫瘍の可能性について解説し、どのように対処すべきかを説明します。


1. 食欲不振と体重増加の関係

食欲不振は、犬や猫が病気や体調不良を示すサインの一つです。しかし、食欲がなくても体重が増える場合があります。この症状が出る理由はいくつかあり、腫瘍が関わっていることもあります。腫瘍は、体内で異常なホルモンを分泌することがあり、それが食欲の低下と体重増加を引き起こすことがあります。主な原因をいくつか見ていきましょう。


2. 腫瘍が引き起こす食欲不振と体重増加

2.1 甲状腺腫瘍(甲状腺機能低下症)

甲状腺腫瘍や甲状腺の機能低下症は、犬や猫で見られる病気です。甲状腺は代謝を調整するホルモンを分泌しており、その機能が低下すると、新陳代謝が遅くなります。これにより、体がエネルギーを消費しにくくなり、食欲が低下しているにもかかわらず、体重が増えてしまうことがあります。甲状腺の異常が原因で食欲がなくても体重が増加する場合、甲状腺ホルモンの検査が必要です。

2.2 副腎腫瘍(クッシング症候群)

副腎はストレスホルモンやエネルギー調整に関わるホルモンを分泌している臓器で、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は、副腎腫瘍によって引き起こされることがあります。この病気では、過剰にコルチゾールというホルモンが分泌され、これが体重増加の原因となります。食欲がない、または異常に増加したように感じることがあり、さらには水を異常に飲み、頻尿になることもあります。クッシング症候群が原因であれば、血液検査や尿検査を行い、ホルモンのバランスを確認することが必要です。

2.3 腹部腫瘍や内臓の腫瘍

腹部に腫瘍ができると、内臓が圧迫され、消化不良や食欲不振を引き起こすことがありますが、それでも腫瘍が体内で成長していく過程で水分や栄養素を取り込むため、体重が増加することがあります。腹部に異常を感じた場合や、体が膨らんだ感じがある場合には、超音波やX線検査を行うことで腫瘍の有無を調べることができます。


3. 他の原因で食欲不振と体重増加が同時に発生することも

腫瘍以外にも、以下の原因が食欲不振と体重増加を引き起こす可能性があります。

3.1 水分の溜まりすぎ(浮腫や腹水)

腫瘍が原因で体内に水分がたまり、浮腫や腹水が生じることがあります。この場合、体重は増えて見えるものの、実際には脂肪が増えているわけではなく、水分が溜まっている状態です。腹部が膨らんだり、手足がむくんだりすることがあるため、早期に診断を受けることが重要です。

3.2 薬物の副作用(ステロイドなど)

犬や猫が病気の治療でステロイド系の薬を服用している場合、食欲が増すことがありますが、一方で体がむくんで体重が増えることもあります。これが原因の場合、獣医師と相談しながら薬の調整を行う必要があります。


4. 診断と治療法

4.1 診断方法

食欲不振と体重増加が見られた場合、獣医師は以下のような検査を行います。

  • 血液検査(ホルモンバランスや肝機能、腎機能のチェック)
  • 画像検査(X線や超音波)(腫瘍や内臓の状態を調べる)
  • ホルモン検査(甲状腺や副腎の異常をチェック)
  • 尿検査(クッシング症候群の診断)

4.2 治療法

原因が特定された場合、その病気に合わせた治療法が決まります。

  • 甲状腺腫瘍の場合:甲状腺ホルモンの補充治療や手術による腫瘍の摘出が行われます。
  • クッシング症候群の場合:副腎腫瘍がある場合は手術や薬物治療、放射線治療が行われます。
  • 腹部腫瘍内臓腫瘍の場合:腫瘍の種類に応じて手術や化学療法が必要です。

いずれの治療も、早期に発見し、獣医師の指導を受けながら進めることが重要です。


5. 飼い主さんができること

愛犬や愛猫の体調に異変を感じた場合、以下のことを実践しましょう。

  • 定期的な健康チェックを受ける(食欲や体重の変化は早期に気づくことが大切です)
  • 食事管理を行う(食欲が低下している場合、栄養を補うための特別な食事が必要になることがあります)
  • ストレス管理を行う(ストレスが病気を悪化させることがあるため、環境の改善が必要です)

また、異常を感じた時には早めに獣医師に相談し、必要な検査を受けることが愛犬や愛猫の健康を守るためには欠かせません。


おわりに

食欲がなくなったにもかかわらず体重が増えるという症状は、腫瘍やホルモンの異常などさまざまな原因が考えられます。早期発見と適切な治療が鍵となりますので、愛犬や愛猫に変化があれば早めに動物病院での診察を受けることをおすすめします。飼い主として、愛するペットの健康管理に積極的に関わることで、より長く一緒に過ごすことができます。

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