犬の前十字靭帯断裂とは？症状・手術方法・費用をわかりやすく解説
犬が急に片足を上げて歩けなくなった、散歩中に痛がって座り込んでしまった――。
そんなとき、疑われる代表的な脚のトラブルが**前十字靭帯断裂（ぜんじゅうじじんたいだんれつ）**です。とくに中型〜大型犬で多く、早期治療がとくに重要な疾患の一つです。今回は、症状から治療方法、手術費用の目安まで、飼い主さまに知っていただきたい情報をまとめました。
前十字靭帯断裂とは？
前十字靭帯とは、膝関節の中で脛骨（すね側の骨）が前にずれないよう押さえる役割をしている靭帯です。
この靭帯が切れてしまうと、膝が不安定になり強い痛みが生じ、正常な歩行が難しくなります。
発生原因としては、
- ジャンプや急な方向転換
- 足の滑り
- 肥満による関節への過負荷
- 加齢による靭帯の弱化
などが挙げられます。特にラブラドール、ゴールデン、柴犬などは発症が比較的多い犬種として知られています。
前十字靭帯断裂で見られる症状
前十字靭帯が断裂すると、次のような症状が見られます。
● 片足を完全に上げて歩く（非荷重跛行）
靭帯が切れた直後は激しい痛みがあり、ほとんど足を地面につけなくなります。
● 膝が不安定でぐらつく
膝を触ると、脛骨が前にずれやすくなる「引き出し徴候（ドロワーサイン）」が見られます。
● 関節が腫れる
受傷後数日で膝関節が腫れ、熱を持つこともあります。
● 徐々に症状が悪化することが多い
完全断裂だけでなく“部分断裂”の場合も多く、最初は軽い跛行だけでも、時間とともに悪化していきます。
これらの症状が見られた場合、早めの検査が重要です。
治療法 ― 基本は手術が推奨されます
前十字靭帯は自然に再生する組織ではないため、根本的な治療には手術が必要とされています。
保存療法（安静・痛み止め・サプリメント）だけで回復を期待するのは難しく、放置すると関節炎が進行し、痛みが慢性化します。
代表的な手術方法
● TPLO法（脛骨高平部水平化骨切り術）
脛骨を円形にカットして角度を変え、膝が前方にずれないようにする手術。大型犬や活動性の高い犬でよく選択されます。
● TTA法（脛骨粗面前進術）
膝の力学的バランスを整え、前方への力を減らす方法。中型〜大型犬で多く実施されます。
● 関節外法（LSS法など）
人工靭帯を使って膝の安定性を補う方法。小型犬で多く選択されます。
それぞれにメリット・適応犬種・回復期間があるため、獣医師が体格や生活スタイルに合わせて最適な方法を提案します。
手術費用の目安
手術費用は病院や手術方法、犬の体格によって変動しますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 小型犬（関節外法）：20〜40万円前後
- 中型〜大型犬（TPLO / TTA）：35〜60万円前後
術後の回復とホームケア
手術後は、
- 安静期間（数週間）
- リハビリ（歩行訓練や筋力回復）
- 体重管理
- 滑りにくい床材の使用
費用には
・術前検査（レントゲン、血液検査）
・麻酔
・入院管理
・内服薬
などが含まれることが多く、詳細は動物病院ごとに異なります。
まとめ：前十字靭帯断裂は早期治療で予後が変わる
前十字靭帯断裂は、放置すると関節炎が急速に進み、将来的な歩行障害につながります。
手術には費用がかかるものの、痛みの改善や歩行の回復に非常に効果的です。
- 急に片足を上げた
- 散歩で痛がる
- 膝が腫れている
- 跛行が治らない
このような症状がある場合は、早めに動物病院へご相談ください。
大切な愛犬の健康な生活を守るためにも、適切な診断と治療が重要です。
といった管理が大切です。一般的には、3〜4ヶ月ほどで元気に走れるまで回復することが多いです。
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