抱っこすると関節がゴリゴリ鳴る・・・?

**関節がゴリゴリ鳴る…外科手術はいつが適切?

― 動物病院ブログ ―**

ペットの関節が「ゴリゴリ」「コリコリ」と音を立てることがあり、「これは病気?」「手術しないといけない?」と心配される飼い主さまは少なくありません。特に高齢期の犬猫では関節疾患が増えるため、早めの判断が大切です。今回は、関節の雑音(関節音)が起こる原因と、外科手術を検討すべきタイミングについて、動物病院の視点から解説します。


関節がゴリゴリ鳴る理由とは?

関節は、骨同士が軟骨と関節液によってスムーズに動くようにできています。しかし、次のような状態になると摩擦が増え、音が発生しやすくなります。

  • 加齢による軟骨のすり減り(変形性関節症)
  • 膝蓋骨脱臼(特に小型犬)
  • 股関節形成不全(大型犬で多い)
  • 靭帯損傷(前十字靭帯断裂など)
  • 過剰な運動や肥満による負荷増加

音だけで病気の重さを判断することはできませんが、「痛み」や「歩き方の変化」があるかどうかが重要な指標になります。


外科手術を考えるべきサイン

動物病院として、以下のような場合には手術を検討する価値が高いと考えられます。

① 痛みが続いている

立ち上がりにくい、階段を嫌がる、運動後に足を引きずるなど、慢性的な痛みが見られる場合は要注意。痛み止めを使っても改善が乏しければ、手術が症状緩和に有効な可能性があります。

② 脱臼や靭帯断裂が確認された

  • 膝蓋骨脱臼グレード3以上
  • 前十字靭帯断裂

このような疾患は自然治癒が難しく、放置すると関節の変形が進行してしまうことがあります。

③ 生活の質(QOL)が低下している

散歩に行きたがらない、寝たきりの時間が増える、触られると怒るなど、日常生活が明らかに変わってしまう場合は、外科的治療を検討すべきタイミングです。


必ずしも手術が必要とは限りません

手術は有効な選択肢ですが、すべてのケースで必要なわけではありません。
多くの関節疾患は以下のような保存療法で改善することもあります。

  • 体重管理
  • 適度な運動指導
  • サプリメント(グルコサミン、コンドロイチンなど)
  • 関節保護のための生活環境改善
  • リハビリ・理学療法

獣医師が状態を診ながら、最適な治療法を組み合わせることが大切です。


早期相談が一番のポイント

関節の病気は進行性のものが多く、早めに対処するほど治療の幅が広がります。
「音が鳴るだけだから…」と放置せず、気になる症状があれば動物病院で診察を受けてください。外科手術が必要かどうかも、身体検査やレントゲン検査によって正確に判断できます。

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