猫の関節炎症例~シニア猫の生活の質を守るために~
はじめに
近年、猫の高齢化に伴い、関節炎を抱える猫が増えてきています。犬の関節炎に比べて猫では気づきにくく、飼い主さんも「ただ年を取っただけ」と思いがちです。しかし、関節炎は猫の生活の質(QOL)に大きく影響します。今回は当院で診療したシニア猫の関節炎症例を通じて、症状の見つけ方や治療法についてご紹介します。
症例紹介
患者情報
- 名前:ミーコちゃん
- 年齢:12歳
- 性別:雌
- 種類:アメリカンショートヘア
主訴
飼い主様は「最近、階段を登らなくなった」「ソファにジャンプするのをためらう」「前足をかばうような動作をしている」と相談に来院されました。室内猫で運動量が減ったことを心配されていました。
診察所見
身体検査では、前足の肘関節と後ろ足の膝関節に触診で痛みと軽度の腫れが認められました。歩き方も左右でバランスが悪く、関節の可動域が制限されていることが確認できました。猫では痛みを隠す習性があるため、日常の行動の変化が重要なサインとなります。
診断
レントゲン検査を行った結果、関節の変形と軟骨の摩耗が確認され、「変形性関節症(OA)」と診断しました。猫の関節炎は進行が緩やかですが、放置すると歩行困難や筋力低下につながります。
治療方針
ミーコちゃんの治療は以下の方針で行いました。
- 生活環境の工夫
- ソファやベッドへの段差にスロープやステップを設置
- 滑りやすい床にはマットを敷く
- 薬物療法
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の投与
- 必要に応じて関節サプリメント(グルコサミン、コンドロイチンなど)を併用
- 運動療法
- 筋力維持のための軽い遊び
- 無理のない範囲での関節運動
- 定期的な評価
- 2~3か月ごとの体重管理と関節状態のチェック
- 痛みのサインや行動変化の確認
治療後の経過
治療開始から1か月で、ミーコちゃんは自宅の階段をゆっくり上れるようになり、ソファへのジャンプも再開しました。飼い主様も「以前より元気になった」と実感されています。猫は痛みを我慢するため、早期の発見と治療が非常に重要です。
猫の関節炎のサインとは?
- 階段やジャンプを避ける
- 歩き方がぎこちない
- グルーミングの手を抜く
- 触られるのを嫌がる部位がある
これらの行動変化に気づいたら、早めに獣医師に相談しましょう。
まとめ
猫の関節炎は進行がゆっくりですが、放置すると生活の質が低下します。環境整備、薬物療法、運動療法を組み合わせることで、痛みを和らげ、快適な生活を取り戻すことが可能です。シニア猫の小さな変化を見逃さず、愛猫が毎日を元気に過ごせるようサポートしていきましょう。
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レラ動物病院
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