犬の皮膚真菌症:初期診断と治療のポイント

【症例紹介】犬の皮膚真菌症:初期診断と治療のポイント

症例概要

今回ご紹介するのは、4歳の柴犬、オス、体重8kg。飼い主様が「最近、背中や耳周りの毛が薄くなり、フケが増えてきた」と来院されました。特に痒みは軽度とのことでしたが、症状は徐々に拡大傾向にありました。

初期診察と検査

触診では、背中と耳の周囲に円形の脱毛斑が見られ、毛の切れ端や皮膚表面に細かいフケが付着していました。赤みや膿はなく、炎症は軽度でした。
皮膚の状態から真菌症(いわゆる“リングワーム”)を疑い、以下の検査を実施しました。

  • ウッド灯検査:患部を紫外線ライトで照射しましたが、緑色の蛍光は確認されず。
  • 皮膚スクレーピングと顕微鏡検査:毛根や角質を採取し、顕微鏡で観察すると菌糸が確認されました。
  • 培養検査:真菌培養を実施し、数日後に Microsporum canis の成長が確認されました。

診断

以上の検査結果から、**犬の皮膚真菌症(マイクロスポルム・カニス感染)**と診断しました。
真菌症は、接触感染や環境中の胞子による感染が多く、特に子犬や免疫力が低下している動物に発症しやすいです。また、ヒトにも感染する可能性があるため、家庭内での注意が必要です。

治療方針

治療は主に以下の3つの柱で行いました。

  1. 局所療法
    抗真菌シャンプー(ケトコナゾール配合)で週2〜3回洗浄。患部の菌を物理的に減らす目的です。
  2. 内服療法
    感染範囲が広く、自己治癒が期待できないため、抗真菌薬の内服(イトラコナゾール)を2週間単位で経過観察しながら実施。
  3. 環境対策
    毛やフケに付着した胞子は長期間残存するため、寝床やカーペットを定期的に洗浄・消毒。飼い主様にも手洗いや接触後の衣服の洗濯をお願いしました。

経過

治療開始から2週間で、患部の赤みやフケは減少し、痒みもほぼ消失。脱毛部分の毛も徐々に再生し、4週間後にはほぼ正常な皮膚状態に回復しました。培養検査でも菌の再検出はなく、治療を終了しました。

まとめ

皮膚真菌症は、軽度の症状でも放置すると慢性化しやすく、家庭内感染のリスクもあります。
早期発見のポイントは、

  • 円形の脱毛斑
  • 軽度のフケや痒み
  • 毛の切れ端

診断には、ウッド灯検査や顕微鏡検査、培養検査が有効です。
治療は局所療法と内服療法の併用、環境管理が基本。飼い主様と協力して家庭内感染予防も徹底することが、再発防止の鍵となります。

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