猫の下痢と芽胞菌~糞便検査でわかった原因とは~
こんにちは。〇〇動物病院です。今回は、下痢で来院された猫ちゃんの症例を通して、飼い主様からよく質問される「芽胞菌」について解説します。下痢は猫によく見られる症状ですが、原因はさまざまです。早めに原因を特定することが、健康回復の近道です。
1. 症例紹介:3歳のアメリカンショートヘア「タマちゃん」
3歳のアメリカンショートヘア、タマちゃんは、数日前から軟便が続き、少量の粘液も混じっているとのことで来院されました。元気や食欲は少し落ちていましたが、発熱や嘔吐はありませんでした。
身体検査では、脱水は軽度、腹部に明らかな圧痛はなく、血液検査でも大きな異常は認められませんでした。下痢の原因を詳しく調べるため、糞便検査を行うことになりました。
2. 糞便検査で芽胞菌が検出
糞便検査の結果、タマちゃんの便から「芽胞菌(Clostridium属)」が検出されました。飼い主様からは「芽胞菌って悪い菌ですか?」と質問をいただくことが多いのですが、芽胞菌について簡単に説明します。
3. 芽胞菌とは?
芽胞菌は、土や環境中に自然に存在する細菌の一種で、すべてが悪い菌ではありません。特徴として、
- 芽胞を作る能力がある
芽胞は、菌が過酷な環境に耐えるための「休眠状態」です。消毒や乾燥にも強く、長期間生き残ることができます。 - 腸内常在菌として存在する場合がある
健康な猫の腸内にも少量存在することがあり、必ずしも病気を引き起こすわけではありません。 - 増殖すると下痢の原因になることもある
免疫力の低下や腸内環境の乱れで芽胞菌が増えると、毒素を出して腸に炎症を起こすことがあります。
つまり、芽胞菌が便に検出されたからといって、すぐに重篤な病気というわけではありません。症状の程度や他の検査結果と合わせて判断することが重要です。
4. 診断と治療方針
タマちゃんの場合、症状は軽度の下痢のみで、血液検査でも異常がなかったため、まずは腸内環境の改善とサポート療法を行うことにしました。
- 食事療法
胃腸に負担の少ない療法食や消化の良いフードに変更しました。 - 水分補給
下痢で水分が失われるため、新鮮な水やウェットフードで水分を補います。 - 整腸剤の使用
腸内の善玉菌を増やし、芽胞菌の過剰増殖を抑える整腸剤を使用しました。 - 経過観察
1週間ほどで下痢の回数が減少し、便の状態も改善しました。
もし症状が長引いたり、血便や元気消失が見られた場合には、抗菌薬の使用も検討しますが、芽胞菌に対しては抗菌薬が効きにくい場合もあります。そのため、腸内環境を整えることが第一選択です。
5. 芽胞菌に関する注意点
芽胞菌は、環境中にも広く存在するため、猫の腸内でも見つかることがあります。重要なのは「菌が存在すること」ではなく「症状があるかどうか」です。
- 軽度の下痢であれば、腸内環境の改善で自然に治ることが多い
- 高齢猫や免疫力が低下している猫では、下痢が長引く場合がある
- 下痢や軟便、血便が続く場合は早めに受診する
飼い主様は、猫の便の状態を観察し、異常を早期に発見することが大切です。
6. まとめ
猫の下痢で糞便検査をすると、芽胞菌が検出されることがあります。芽胞菌は腸内常在菌であることも多く、必ずしも病気の原因とは限りません。
症状が軽度であれば、食事療法や整腸剤、環境管理で改善することがほとんどです。重要なのは、猫の便の状態や元気の変化をしっかり観察し、異常があれば早めに動物病院に相談することです。
タマちゃんも、飼い主様の観察と適切なサポートで数日で下痢が改善し、元気に過ごせるようになりました。猫の腸内環境は敏感ですが、ちょっとした工夫で健康を守ることができます。
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