冬に増える皮膚トラブル ― 愛犬・愛猫の肌を守るために
寒い季節になると、「皮膚がカサカサしてかゆがる」「フケが増えた」「毛が抜けてきた」などのご相談が動物病院で増えてきます。
冬は気温が下がるだけでなく、暖房による乾燥や生活環境の変化が重なり、ペットの皮膚にも大きな負担がかかる季節です。今回は、冬に多い皮膚疾患とその対策についてお話しします。
◆ 冬の皮膚トラブルが起こる原因
冬の皮膚トラブルの一番の原因は「乾燥」です。
室内の暖房により湿度が下がると、皮膚の水分が奪われ、バリア機能が低下します。その結果、少しの刺激でもかゆみや赤みが出やすくなります。
また、冬はお散歩の回数や運動量が減るため、血行が悪くなり皮膚の新陳代謝も低下します。さらにシャンプーのしすぎや強い洗浄力のあるシャンプーも、皮脂を取りすぎて乾燥を悪化させる原因になります。
◆ よく見られる皮膚疾患
1. 乾燥性皮膚炎
皮膚が乾燥してフケが出たり、かゆみを伴うことがあります。特に背中や腰のあたりに白いフケが目立つケースが多く見られます。掻き壊してしまうと、そこから細菌感染を起こすこともあります。
2. アレルギー性皮膚炎
冬でもアレルギーによる皮膚炎は多く見られます。食事内容の変化や、室内のハウスダスト・カビ・花粉などが原因になることも。アレルギー体質の子は、乾燥によって症状が悪化しやすい傾向にあります。
3. マラセチア皮膚炎
皮膚に常在する「マラセチア」という真菌(カビの一種)が増殖して起こる皮膚炎です。耳や口周り、脇、足先などに赤みやベタつき、においを伴うことがあります。冬は皮膚の抵抗力が落ちることで発症しやすくなります。
◆ おうちでできるケアと予防法
- 加湿を心がけましょう
室内の湿度を50〜60%程度に保つことで、皮膚の乾燥を防げます。加湿器を使うほか、濡れタオルを干すなどの工夫もおすすめです。 - 保湿ケアを取り入れる
乾燥しやすい子には、動物用の保湿スプレーやローションを使用すると効果的です。シャンプー後やブラッシング時に使うことで、皮膚のバリア機能をサポートできます。 - シャンプーの頻度を見直す
汚れが少ない時期は、無理に頻繁にシャンプーする必要はありません。1〜2か月に1回程度を目安にし、低刺激・保湿成分入りのシャンプーを選びましょう。 - 食事から皮膚をサポート
オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)やビタミンEなど、皮膚の健康を保つ栄養素を含むフードを与えるのもおすすめです。サプリメントの使用を検討する場合は、必ず獣医師にご相談ください。
◆ 気になる症状があれば早めに相談を
「少しかゆがっているだけ」と思って放置すると、掻き壊しや感染症につながることがあります。特に冬の皮膚トラブルは見た目では軽く見えても、内部で炎症が進行しているケースも少なくありません。
フケが増えた、赤みがある、においがするなど気になるサインがあれば、早めに動物病院へご相談ください。
◆ まとめ
冬は人もペットも乾燥に悩まされる季節です。
日頃からの保湿ケアと室内環境の見直しで、皮膚トラブルの多くは防ぐことができます。大切な家族が快適に冬を過ごせるよう、スキンケアの習慣を取り入れていきましょう。
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