【動物病院ブログ】犬や猫に噛まれた!実はとても怖い「歯の仕組み」と感染症のリスク
犬や猫と遊んでいたとき、あるいは不意に驚かせてしまったときなど、「うっかり噛まれてしまった!」という経験はありませんか?
小さな傷だからといって軽く見てしまうと、思わぬ感染症のリスクを引き起こす可能性があります。
今回は、犬や猫の歯の仕組みと、噛まれたときに注意すべきポイント、感染症の対処法について詳しくご紹介します。
犬や猫の歯は「刺す」「裂く」ためにできている
まず知っておきたいのは、犬や猫の歯の構造です。人間とは違い、肉を引き裂く・骨を砕くことを目的とした歯が発達しています。
犬の歯の特徴
- 合計42本の歯があり、その多くが鋭く尖った犬歯や裂肉歯(れつにくし)
- 獲物を捕まえて突き刺す・引き裂く・噛み砕くのに適している
- そのため、噛まれた傷は深く、縦に裂けたような形になりやすい
猫の歯の特徴
- 合計30本の歯で構成されており、**とくに鋭い犬歯(牙)**が目立ちます
- 小さな獲物を狩るための進化をしており、針のように細く深く刺さるのが特徴
- 見た目は小さな傷でも、実際は皮膚の奥まで達していることが多い
噛み傷が怖いのは「見た目より深く、細菌が入りやすい」から
犬や猫に噛まれたときに最も注意したいのが、感染症のリスクです。なぜそれほど危険なのでしょうか?
傷がふさがりやすく、奥で炎症が起きやすい
猫に噛まれたときは特に注意が必要です。針のように細い犬歯で刺されるため、傷口はすぐにふさがってしまいます。
- 外から見ると治ったように見える
- 実際は内部で細菌が繁殖し、膿瘍(のうよう)や感染が進行
- 発熱・腫れ・赤み・痛みが数日後に現れることも
どんな細菌が潜んでいる?
動物の口の中には、**常在菌(じょうざいきん)**と呼ばれる細菌がたくさんいます。これらは動物には無害でも、人間にとっては危険です。
代表的なもの:
- パスツレラ菌(Pasteurella):犬猫の口の中によく見られ、人では膿瘍や関節炎、時に敗血症を引き起こすことも
- カプノサイトファーガ属菌:まれに人で重症化(免疫が弱っている人は特に注意)
- 嫌気性菌:酸素が少ない場所(=深い傷)で増えやすく、化膿や壊死の原因になる
噛まれたらどうすればいい?すぐにできる応急処置
噛まれた直後に行っておくべき応急処置を覚えておきましょう。
- すぐに流水で5分以上洗い流す
- 傷口の奥に入り込んだ細菌を洗い流すことが最優先
- 石けんで優しく周囲を洗う
- 消毒薬(ポビドンヨードなど)で消毒
- 清潔なガーゼで覆い、すぐに医療機関へ
※たとえ軽い傷でも、**必ず医療機関を受診しましょう。**特に猫の咬傷は油断禁物です。
動物病院として伝えたい:咬傷は人の健康問題でもある
私たち動物病院では、「うちの猫に噛まれたんですけど、大丈夫ですか?」という相談を受けることもあります。
もちろんペットの健康も大切ですが、飼い主さんご自身の健康も非常に重要です。
- 噛まれた経緯によっては、動物側にもストレスや体調不良が隠れていることがあります
- 一緒に診察を受けることで、動物と人間、両方の健康を守ることができます
まとめ:軽い傷でも軽視しないで。すぐ受診を!
犬や猫に噛まれることは、飼い主さんや動物にとっても避けたいトラブルです。
ですが、万が一のときには、冷静に対処し、できるだけ早く医療機関(皮膚科や外科)を受診することが大切です。
また、動物側に原因がある場合(痛みや病気による攻撃性など)もあるため、動物病院でのチェックも忘れずに。
「たかが噛み傷」と思わず、お口の中に潜む細菌の怖さを知って、しっかり予防と対処をしていきましょう。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
レラ動物病院
〒001-0907
北海道札幌市北区新琴似7条9丁目5−8
011-769-2500
セカンドオピニオンの方は事前に連絡ください。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-