犬猫の認知症について 歯と脳の関係性

歯の健康と認知症の関係性って?犬や猫にも関係あるの?

「最近、うちの子がなんだかぼーっとしてる」「夜中に鳴いたり、徘徊しているみたい」――そんな変化を感じたことはありませんか?
高齢になった犬や猫に見られるこうした行動変化は、「認知機能不全症候群(いわゆる認知症)」の可能性があります。
今回は、“歯の健康”と“認知症”にどんな関係があるのか?という点に注目して、動物たちの健康を守るために知っておきたい情報をお届けします。


人ではよく知られている「口腔と脳」のつながり

人間の医療では、歯周病がアルツハイマー型認知症の発症リスクを高めるという研究結果が数多く報告されています。

  • 歯周病菌が血液を通じて脳に炎症を引き起こす
  • 咀嚼機能の低下により、脳への刺激が減る
  • 歯を失うことで栄養バランスも崩れ、脳の機能が落ちやすくなる

このように、「口の健康=脳の健康」とも言えるほど、お口と脳の関係は密接なのです。


犬や猫にも“認知症”はあるの?

実は、犬や猫にも“認知機能の低下”=認知症が見られることがあります。

犬の場合(認知機能不全症候群)

高齢の犬に見られる主な症状は:

  • 昼夜逆転(夜鳴きが増える)
  • 飼い主の呼びかけに反応しなくなる
  • ぐるぐる回る、同じ場所を徘徊
  • トイレの失敗が増える

15歳以上の高齢犬では40%以上が何らかの認知症症状を示すというデータもあります。

猫の場合

猫は犬に比べて認知症の症状がわかりづらい傾向にありますが、以下のような変化が見られることがあります。

  • 意味もなく鳴き続ける
  • トイレ以外で排泄する
  • 寝てばかり、または落ち着きがなくなる
  • 飼い主の顔を覚えていないような行動

これらは加齢による自然な変化もありますが、認知機能の衰えのサインである可能性もあります。


歯の健康が脳にどう影響するのか?

動物でも、人と同じように口の中の状態が脳の健康に関係している可能性が示唆されています。

歯周病菌と炎症

  • 歯周病があると、口腔内の細菌が血流に乗って全身をめぐります。
  • それが脳にも到達し、炎症を引き起こす要因になると考えられています。
  • 特に慢性的な炎症は、脳の機能に悪影響を与えることがわかっています。

噛む刺激と脳の活性化

  • 噛むという行為は、脳にとっても重要な刺激。
  • 歯が抜けたり痛みがあると、食べにくくなって噛む回数が減り、脳への刺激が低下します。
  • 噛む力が落ちることは、筋力や活力の低下にもつながる可能性があります。

認知症予防のためにも歯のケアは重要!

高齢になるとどうしても歯や歯ぐきのトラブルが増えますが、それを放置すると全身の健康に悪影響が及びます。

歯の健康チェックリスト

  • 口臭が強くなっていないか
  • 歯ぐきが赤く腫れていないか
  • 歯がグラグラしていないか
  • 食べるスピードが遅くなっていないか

このようなサインがある場合は、一度動物病院での口腔チェックをおすすめします。


自宅でできる認知症&歯の健康ケア

認知症や口腔トラブルを防ぐために、日常的にできる工夫をご紹介します。

口腔ケア

  • 歯磨き(嫌がる場合は歯磨きシートやデンタルスナック)
  • 歯石予防のサプリメントやデンタルフード
  • 定期的なスケーリング(歯石除去)

脳への刺激を意識した生活

  • 適度な運動
  • おもちゃ遊びや知育トイの活用
  • 規則正しい生活リズム
  • スキンシップや声かけも効果的!

まとめ:お口の健康は脳の健康にもつながる

「歯なんて多少悪くても大丈夫」と思っていませんか?
実は、歯や口の中の状態は、犬や猫の脳や全身にまで影響を与える大切な健康バロメーターです。

少しでも「様子が変だな」と感じたら、早めに動物病院へ相談してみてください。
高齢期を迎えるペットたちが、最後まで元気に穏やかに過ごせるように、歯と脳の健康を一緒に守っていきましょう。

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