高齢犬猫の歯石取り、無麻酔の歯石取りについて


シニア犬猫でも歯石取りはできる?気になるお口のケア事情

年齢を重ねた愛犬・愛猫の健康管理で、見落とされがちなのが「歯の健康」です。「うちの子、もう高齢だから歯石取りは無理かも…」「麻酔が心配で踏み出せない」という声を、私たち動物病院でもよくお聞きします。

でも実は、シニア期の犬や猫でも、歯石取りは可能です。今回はその理由や注意点、飼い主さんに知っておいてほしいポイントをわかりやすくご紹介します。


歯石はどうして取らなきゃいけないの?

歯石とは、歯垢(プラーク)が唾液中のミネラルと結びついて石のように固まったものです。これが付着したままだと歯周病が進行し、次のようなトラブルが起こります。

  • 強い口臭
  • 歯茎の腫れ・出血
  • 歯のぐらつき・抜け落ち
  • 食欲低下、痛みによる食べムラ
  • 重症化であごの骨が溶けることも

さらに怖いのは、歯周病菌が血液に乗って、心臓や腎臓などに悪影響を及ぼすことです。特にシニア期は、内臓機能が弱ってきている時期なので、感染が重症化しやすくなります。


シニア動物にこそ必要なデンタルケア

「高齢だからこそ、歯のケアが必要」というのは少し意外に聞こえるかもしれませんが、これはとても大切な考え方です。歯の健康は、全身の健康に直結しています。

ごはんを美味しく食べること、免疫力を保つこと、そして生活の質(QOL)を守ること——そのためにも、歯石取りは重要なケアのひとつです。


シニア期でも歯石取りは可能!

かつては「10歳を超えたら麻酔は危険」と言われることもありましたが、今は医療の進歩により、麻酔の安全性が高まっています

当院では、歯石取りの前に以下のような丁寧な術前検査を行っています:

  • 血液検査(肝臓・腎臓・炎症反応など)
  • 心電図
  • 胸部レントゲン
  • 超音波検査(必要に応じて)

これらの検査で問題がなければ、シニアのワンちゃん・ネコちゃんでも安全に麻酔下での処置が可能です。また、処置中はモニターで心拍や呼吸を細かく管理し、万全の体制でケアを行います。


無麻酔での歯石取りってどうなの?

最近、「無麻酔で歯石を取ってくれる」というサービスも目にすることがあります。しかし、無麻酔での歯石取りは表面の歯石を少し取るだけにとどまり、歯周ポケット内部のケアまではできません

また、動物が動いてしまうことで器具で口内を傷つけてしまうリスクも。何より、痛みやストレスを伴う可能性が高いため、動物たちにとっては望ましくない方法です。


飼い主さんにできること

歯石取りを行うかどうかは、年齢だけでなく**「今の健康状態」や「生活の質」をどう保ちたいか**によっても変わります。

まずは動物病院で口腔チェックを受け、必要であれば術前検査を行い、その子にとって最適な選択をしていくことが大切です。

また、毎日の歯みがきやデンタルケアおやつ、専用フードなど、日々の予防ケアも非常に効果的です。若い頃からの習慣が、シニア期の健康を大きく左右します。


最後に:年をとっても健康なお口を

「もうシニアだから」と諦めるのではなく、その子が元気に過ごすために今できることを考えていくことが大切です。

歯石取りは単なる美容目的ではなく、全身の健康を守るための医療行為です。シニアの子こそ、丁寧なケアと判断が必要です。気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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