猫に多い口腔疾患とは?
~お口の健康を守るために知っておきたいこと~
猫ちゃんのお口の健康は、全身の健康にも大きく関わっています。
しかし、猫は痛みや不快感を隠すのがとても上手な動物。
飼い主さんが気づかないうちに、口腔疾患が進行してしまうことも少なくありません。
今回は、猫に多い代表的な口腔疾患と、早期発見のポイントについてご紹介します!
1.歯周病(ししゅうびょう)
■ 猫の口腔疾患でもっとも多い
歯周病は、歯垢や歯石に繁殖した歯周病菌が原因となり、
歯ぐきの炎症や歯の根元の破壊を引き起こす病気です。
【主な症状】
- 口臭が強くなる
- 歯ぐきが赤く腫れる
- 歯がぐらぐらする
- ごはんを食べにくそうにする
【注意点】
進行すると歯が抜けたり、菌が血液を通して心臓や腎臓に悪影響を与えることもあります。
2.歯肉口内炎(しにくこうないえん)
■ 痛みが強く、食べられなくなることも
歯肉口内炎とは、歯ぐきや口の粘膜に強い炎症が起こる病気です。
ウイルス感染(猫エイズウイルス、猫白血病ウイルス)や免疫異常が関与していると考えられています。
【主な症状】
- よだれが多い(特に血の混じったよだれ)
- 口を触られるのを嫌がる
- ごはんを食べたがるが、食べると痛がる
- 体重減少、元気消失
【注意点】
重度の場合、痛みで絶食状態になり、命に関わることも。
早めの治療が必要です。
3.歯牙破折(しかははせつ)
■ 歯が折れる・割れる
硬いものを噛んだり、事故や落下などで歯が折れてしまうこともあります。
折れた歯を放置すると、歯の内部に細菌が入り込み、**根尖膿瘍(こんせんのうよう)**という膿の塊を作ることがあります。
【主な症状】
- 片側だけで物を噛む
- 顔が腫れる(特に目の下)
- 食欲低下、痛み
【注意点】
破折した歯は、多くの場合抜歯や根管治療が必要です。
4.吸収病巣(きゅうしゅうびょうそう)
■ 猫特有の歯の病気
吸収病巣(フォルス・オドントクロス・リージョン)は、
歯の組織が体に吸収されて壊れてしまう病気です。
原因ははっきりわかっていませんが、非常に多くの猫に見られます。
【主な症状】
- 歯の根元が赤くただれる
- 食べるときに首を振る
- 突然鳴きながら食事を中断する
【注意点】
痛みが強く、抜歯が必要なことが多いです。
5.口腔内腫瘍(こうくうないしゅよう)
■ 命に関わることもある重大な病気
口の中にも腫瘍(がん)ができることがあります。
特に猫の場合、**扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)**という悪性腫瘍が多く、進行が早いのが特徴です。
【主な症状】
- 口内にしこりができる
- 顔の変形
- 食欲低下、体重減少
- よだれや出血
【注意点】
腫瘍は発見が遅れると治療が難しくなります。
口の中に異常を感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
6.注意したいサイン
猫ちゃんは痛みを隠すため、以下のような小さなサインを見せることがあります。
- 食べるスピードが遅くなった
- 片側の歯でしか噛まない
- 口をくちゃくちゃさせる
- 口元を前足で頻繁に触る
- 食欲があるのにごはんを途中でやめる
こうした変化に気づいたら、早めの検診をおすすめします。
まとめ ~猫の口腔ケアは早期発見・早期治療がカギ~
猫ちゃんの口腔疾患は、症状が出る頃にはかなり進行していることも多いです。
だからこそ、
- 定期的な口腔チェック
- 毎日のデンタルケア(歯みがき・デンタルガム)
- 少しの異変にも気づく観察力
がとても大切です。
「なんだか様子がおかしいな」と思ったら、迷わず動物病院へ相談してくださいね!
猫ちゃんが元気に長生きできるように、日頃からお口の健康を守っていきましょう🐾🦷✨
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レラ動物病院
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