歯と心臓の関係って?知られざる「お口と体」のつながり
「歯周病」と聞くと、口の中だけの問題と思いがちですが、実は心臓にも大きな影響を与える可能性があることをご存じですか?
今回は、歯と心臓の意外な関係について詳しくご紹介します!
歯周病とは?
まずは歯周病のおさらいから。
歯周病とは、歯に付着したプラーク(歯垢)や歯石に含まれる細菌が原因で、歯ぐきに炎症が起こり、やがて歯を支える骨(歯槽骨)まで破壊されてしまう病気です。
初期は「歯肉炎」と呼ばれ、歯ぐきの赤みや出血程度ですが、進行すると「歯周炎」となり、
- 歯ぐきが下がる
- 歯がぐらぐらする
- 最終的に歯が抜ける
といった深刻な問題につながります。
なぜ歯周病が心臓に影響するの?
歯周病が進行すると、炎症を引き起こしている細菌やその毒素が、歯ぐきの血管を通じて血流に乗って全身へ運ばれることがあります。
これが心臓に悪影響を及ぼすと考えられています。
特に注目されているのが、
**細菌性心内膜炎(感染性心内膜炎)**という病気です。
細菌性心内膜炎とは?
細菌性心内膜炎とは、心臓の内膜や心臓の弁に細菌が感染して炎症を起こす病気です。
歯周病菌などの細菌が血流に乗って心臓に到達し、傷ついた心臓の弁に付着・増殖することで発症します。
犬や猫では特に、
- 心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症など)を持つ子
- 免疫力が落ちている子
が、細菌性心内膜炎にかかりやすいと言われています。
この病気は進行すると命に関わるため、非常に注意が必要です。
歯周病が心臓病を悪化させる可能性も
歯周病があると、常に小さな「炎症」が体の中で続いている状態になります。
これにより、心臓に負担がかかったり、心血管の状態が悪化したりする可能性も示唆されています。
人間の医療でも、「歯周病があると心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上がる」と言われており、
動物たちでも似たようなメカニズムが考えられています。
歯と心臓を守るためにできること
では、大切なペットたちの歯と心臓を守るためにはどうしたらいいのでしょうか?
① 毎日の歯みがきを習慣に!
歯みがきは歯周病予防の基本。
いきなり完璧にできなくてもいいので、子犬・子猫のうちから口を触る練習を始めて、徐々に歯みがきを習慣化していきましょう。
② 定期的な歯科チェック
最低でも年に1~2回は、動物病院で歯科チェックを受けることをおすすめします。
歯石の付き具合、歯ぐきの状態を見てもらい、必要に応じてスケーリング(歯石除去)を検討しましょう。
③ 心臓の健康診断も忘れずに
特に中高齢の子は、定期的に心臓の健康チェック(聴診・エコー検査など)も受けましょう。
心臓病が見つかった場合、歯周病菌による二次的な悪化を防ぐためにも、より慎重な口腔ケアが必要になります。
まとめ:お口の健康=体の健康
「歯は命」とよく言いますが、ペットたちにとっても歯の健康は心臓をはじめ全身の健康につながるといっても過言ではありません。
小さな歯石や歯ぐきの赤みでも、放っておかずに早めにケアすることが、
- 歯を守り
- 心臓を守り
- そして命を守る
ことに直結します。
ぜひ、今日からできる小さなケアを続けていきましょうね🐾🦷💓
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