歯と肝臓の関係って?見逃せないお口と体のつながり
歯周病は「お口の病気」と思われがちですが、実は全身の健康に影響を及ぼす病気です。
なかでも近年注目されているのが、歯と肝臓の関係。
今回は、歯周病が肝臓に与える影響について詳しくご紹介します。
歯周病とは?
まずは基本から。
歯周病は、口の中に存在する細菌が歯ぐきに炎症を起こし、
進行すると歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてしまう病気です。
初期段階では歯ぐきの赤みや出血だけですが、悪化すると
- 歯ぐきの後退
- 歯のぐらつき
- 歯の脱落
につながります。
そして、ただの口の問題ではなく、全身に悪影響を及ぼすことがわかってきています。
歯周病菌は全身を巡る
歯周病が進行すると、歯ぐきの血管が細菌やその毒素によって破壊されます。
すると、口の中の細菌が血流に乗って全身へ運ばれるようになります。
この状態を「菌血症」と呼び、
- 心臓
- 肺
- 腎臓
などの臓器にも影響を与えることが知られています。
そして、肝臓も例外ではありません。
肝臓は「解毒の臓器」
肝臓は、体内に入った毒素や老廃物を処理・解毒する役割を担っています。
血流に乗った細菌や毒素が肝臓に到達すると、肝臓はこれらを処理しようと働きます。
しかし、細菌や毒素の量が多すぎると、
- 肝臓の負担が増える
- 肝細胞が炎症を起こす
- 肝機能が低下する
という悪循環に陥る可能性があります。
つまり、重度の歯周病は、知らないうちに肝臓にダメージを与えていることがあるのです。
歯周病と肝臓疾患の関連
近年の研究では、歯周病が肝臓病、特に**非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)**と呼ばれる病気に関係している可能性が示唆されています。
また、犬や猫でも、慢性的な感染や炎症が**肝臓酵素(ALT、ASTなど)**の上昇を引き起こすケースが見られます。
- 歯周病が進行している
- 肝臓の数値が悪い
そんな場合、実は口の中のケアが肝臓の負担軽減につながることもあるのです。
こんなサインに注意!
もし次のような症状が見られたら、歯周病と肝臓の関係を疑ってみましょう。
- 強い口臭がする
- よだれが増えた
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 元気がない
- 食欲が落ちた
- 黄疸(皮膚や粘膜が黄色くなる)
これらは口腔内トラブルだけでなく、肝臓の不調のサインでもあります。
歯と肝臓を守るためにできること
大切なペットの健康を守るために、以下のことを心がけましょう!
① 毎日の歯みがき
歯周病菌を減らすには、日々の歯みがきが一番効果的です。
少しずつ慣らしていき、歯ぐきと歯の境目を意識して磨きましょう。
② 定期的な歯科チェック
動物病院での歯科チェックを習慣にしましょう。
歯石除去(スケーリング)も、全身麻酔をかけて安全に行うことが大切です。
③ 血液検査で肝臓の状態チェック
年に1~2回は、血液検査を受けて肝臓の数値もチェックしましょう。
早期発見・早期対応が、重篤な病気を防ぐカギになります。
まとめ:お口の健康が、体全体の健康に
「歯と肝臓」──一見関係ないように見えて、実はとても深くつながっています。
口の中の小さな炎症を放置していると、
見えないところで肝臓がダメージを受け、
体全体の健康を脅かしてしまうかもしれません。
だからこそ、
小さなうちからのお口ケア
定期的な検診
を心がけ、大切な家族の健康を守っていきましょうね🐾🦷💛
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
レラ動物病院
〒001-0907
北海道札幌市北区新琴似7条9丁目5−8
011-769-2500
セカンドオピニオンの方は事前に連絡ください。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-