歯石は麻酔をかけないと取れないの?その理由をわかりやすく解説!
「うちの子の歯、すごく汚れてる気がする…」
「歯石を取りたいけど、麻酔が心配で…」
「無麻酔でやってくれるところもあるって聞いたけど?」
歯石除去について、こんな疑問や不安をお持ちの飼い主さまも多いのではないでしょうか。
今回は、「なぜ歯石は麻酔をかけて取る必要があるのか」、そして「麻酔以外の方法がなぜおすすめできないのか」について、獣医師の視点からご説明します。
歯石は基本的に“全身麻酔”で除去します
結論からお伝えすると、当院では歯石除去は必ず全身麻酔下で行います。
これは、動物の健康と安全を第一に考えたうえでの判断です。
「麻酔なしでちょっと表面だけでも…」というご要望もあるかもしれませんが、それは本質的な歯科治療にはなりません。
麻酔をかける理由①:動物はじっとしていられない
人間のように「口を開けていてください」と言っても、ワンちゃんやネコちゃんに伝わりません。
歯石除去には、超音波スケーラーという振動の強い器械を使い、細かい作業が必要です。
動物が動くと…
- 歯ぐきや舌を傷つけるリスク
- 器具がずれてしまう危険
- ストレスや恐怖でトラウマになる可能性
があり、安全に処置を行うことができません。
麻酔をかける理由②:歯の根元・裏側までしっかり見て処置できる
歯石は見える表面だけに付いているわけではありません。
歯と歯ぐきの間(歯周ポケット)や、歯の裏側、奥歯の根元など、目に見えにくい部分にこそ、重度の汚れや炎症が隠れています。
麻酔をかけることで、じっくり観察・評価・処置ができるようになります。
- 歯周病の進行具合のチェック
- グラグラした歯の抜歯
- 歯ぐきの炎症や膿の処置
- 歯の表面を滑らかに仕上げる研磨処置(ポリッシング)
など、ただの「歯石取り」にとどまらない本格的な歯科ケアができるのです。
「無麻酔でできる歯石除去」はおすすめしない理由
最近では「無麻酔スケーリング」を行う施設もありますが、当院ではおすすめしていません。
❌ 見える部分しか取れない
→ 表面の歯石だけを削っても、歯周ポケットの汚れは残ります。
数週間で再び歯垢がたまり、歯周病が進行するリスクが高まります。
❌ 動物にとって大きなストレス
→ 押さえつけられながら器械を当てられるのは、非常に恐怖を感じる体験です。
次回の診察時に口元を触らせなくなってしまうことも。
❌ 歯や歯ぐきを傷つけるおそれ
→ 動く動物相手に、器械を当てるのは危険です。
出血や歯の破損などの事故の可能性もあります。
麻酔のリスクと向き合うために
もちろん、全身麻酔にはリスクがまったくないわけではありません。
特に高齢の子や持病のある子の場合、飼い主さまもご心配かと思います。
しかし、当院では事前に以下のような安全対策を行っています。
- 術前血液検査や心電図、レントゲンなどの健康チェック
- 年齢や体調に合わせた麻酔薬の選択と量の調整
- 手術中のモニタリング(心拍・酸素濃度・呼吸数など)
- 処置時間をなるべく短く・負担少なく計画
“安全に麻酔をかける”ための努力を、最大限行っています。
まとめ:本当に歯の健康を守るなら、麻酔下の歯科処置が基本です
✅ 歯石除去は、基本的に全身麻酔が必要
✅ 表面だけ削っても、根本的な治療にはならない
✅ 麻酔下で初めて、歯の状態を正確に把握・治療できる
✅ 無麻酔スケーリングは、危険かつ治療効果が不十分
✅ 安全な麻酔のため、事前検査と個別の配慮を徹底しています
歯の健康は、「その場しのぎ」では守れません。
だからこそ、安全で確実な方法を選ぶことが、
大切な家族の未来につながっていきます。
「麻酔が心配」「何歳までならできる?」など、
不安やご質問があれば、いつでもお気軽にご相談ください🐾
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レラ動物病院
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セカンドオピニオンの方は事前に連絡ください。
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