眼の下が腫れている…それ、歯が原因かも?

眼の下が腫れている…それ、歯が原因かも?

ある日、ワンちゃんやネコちゃんの顔を見ていて「眼の下が腫れている」「片目の下がぷっくりしている」と気づいたことはありませんか?
もしかするとそれは、歯や口の中の病気が原因かもしれません。

今回は、**眼の下が腫れる原因として考えられる「歯科疾患」**について詳しくご紹介します。


眼の下が腫れるのはなぜ?

眼の下(頬のあたり)が腫れる原因は、実は一つではありません。主な原因として、以下のようなものが考えられます:

  • 歯の根っこの病気(歯根膿瘍)
  • 目そのものの病気(結膜炎や眼窩炎)
  • 外傷や虫刺され
  • 腫瘍
  • 鼻腔のトラブル

中でも、非常に多いのが「歯の根っこの化膿(歯根膿瘍)」によるものです。特にワンちゃんでは、眼の下の腫れがこの病気のサインであることがよくあります。


歯の病気が顔を腫らす!?「歯根膿瘍」とは

「歯根膿瘍(しこんのうよう)」とは、歯の根っこ(歯根)に膿がたまり、炎症を起こしてしまう病気です。
歯周病が進行していたり、歯が折れたりすると、細菌が歯の内部から根っこに入り込み、炎症や膿を引き起こします。

犬や猫では、上あごの奥歯(特に第4前臼歯)が原因となることが多く、この歯の根は眼の下の皮膚のすぐ下にあります。そのため、歯の根に炎症が起きると、ちょうど目の下が腫れてしまうのです。


こんな症状があれば要注意

以下のような症状が見られる場合は、歯根膿瘍の可能性が高いです:

  • 眼の下がぽこっと腫れている
  • 腫れていたところから膿や血が出てきた
  • 片側の目だけ涙が多い
  • 食欲が落ちた、固いものを食べたがらない
  • 口臭がきつくなった
  • よだれが増えた

皮膚に穴が開いて膿が出ている場合(瘻管:ろうかん)はすでにかなり進行している状態です。すぐに動物病院での診察が必要です。


レントゲンでわかる?診断方法について

診断には、以下のような検査を行います:

  • 視診・触診:腫れている部分や痛みの有無を確認
  • 口腔内検査:歯のぐらつき、破折、歯石の有無など
  • レントゲン撮影:歯根周囲の炎症や骨の変化を確認

場合によっては、麻酔下での精密な口腔内検査やCT検査を行うこともあります。


治療法は?根本治療が必要です

歯根膿瘍の治療は、膿を出すだけでは根本的な解決にはなりません。
原因となる歯を**しっかり治療(多くの場合は抜歯)**する必要があります。

主な治療内容

  • 抗生物質の投与(膿を抑えるための一時的な処置)
  • 抜歯(原因となる歯を取り除き、根本治療)
  • 膿瘍の洗浄と排膿(感染を抑えるため)

なお、抗生物質だけでは一時的によくなっても再発することが多いため、獣医師と相談し、抜歯などの治療を検討しましょう。


腫れた部分に触ってはいけない?

飼い主さんの中には、腫れた部分を気にして触ったり、膿が出た穴を清潔にしようとする方もいます。
ですが、腫れのある場所を無理に触ったり押したりするのはNGです。

理由は以下の通りです:

  • 刺激によって炎症が悪化する可能性がある
  • 膿が周囲に広がる可能性がある
  • 動物が痛がって噛みつくこともある

むやみに手を出さず、速やかに動物病院で診察を受けてください。


予防するには?歯の健康管理がカギ

歯根膿瘍を予防するには、日頃からの口腔ケアがとても重要です。

自宅でできる予防法

  • 毎日の歯みがき(少なくとも週2〜3回以上)
  • 歯磨きシートやデンタルガムの活用
  • 歯石が気になったら早めのスケーリング(歯石除去)

また、1年に1回は動物病院での口腔チェックを受けると安心です。


まとめ

✅ 眼の下の腫れは「歯の病気」が原因のことがある
✅ 特に上顎の奥歯の炎症で、目の下が腫れるケースが多い
✅ 放置すると膿が出たり皮膚に穴が開いたりすることも
✅ 治療には抜歯など根本治療が必要
✅ 日常のデンタルケアと定期検診で予防を


「目の下が腫れているけど、元気そうだし様子を見ようかな…」と思っているうちに、症状が悪化してしまうケースもあります。
気になる腫れがあれば、早めに動物病院へご相談くださいね。
大切な家族の健康を守るために、口腔ケアも見直していきましょう!

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