乳腺腫瘍はオスもなるの?知られざるリスクと症状
「乳腺腫瘍」と聞くと、メスの犬や猫に多い病気というイメージを持つ方が多いでしょう。しかし、実はオスにも乳腺腫瘍が発生する可能性があることをご存じですか?
乳腺腫瘍は、犬や猫における最も一般的ながんのひとつですが、オスに発生するケースは非常に珍しいため、見逃されることも少なくありません。
今回は、オスの犬や猫における乳腺腫瘍の発生リスク、原因、症状、治療法について詳しく解説します。
1. 【そもそも乳腺腫瘍とは?】
乳腺腫瘍とは、乳腺に発生する腫瘍(できもの)のことです。
犬や猫の乳腺は、お腹の中央に並ぶ乳首の下に分布する組織であり、主に授乳期に機能します。しかし、ホルモンの影響や遺伝的要因などによって、腫瘍が発生することがあります。
✅ 犬の乳腺腫瘍の50%は悪性(がん)
✅ 猫の乳腺腫瘍の約80~90%は悪性(特に悪性度が高い)
一般的にはメスに多い病気ですが、オスにも発生することがあります。
2. 【オスも乳腺腫瘍になるの?】
◇ オスの乳腺腫瘍はまれだが、発生する可能性あり
✅ オスの犬や猫における乳腺腫瘍の発生率は1%未満
✅ しかし、発生した場合は高確率で悪性(特に猫ではほぼ悪性)
✅ 見逃されやすく、発見時には進行していることが多い
メスに比べて発生率が極めて低いため、オスの飼い主さんは「乳腺腫瘍の可能性」を考えないことが多いですが、しこりを発見した場合は注意が必要です。
3. 【オスの乳腺腫瘍の原因】
オスの犬や猫で乳腺腫瘍が発生する原因は、以下のような要因が考えられます。
① ホルモンの異常
✅ エストロゲンやプロゲステロンの影響で乳腺腫瘍が発生することがある
✅ 特に、内分泌系(ホルモン系)の病気がある場合はリスクが高まる
② 精巣腫瘍との関連
✅ オスの犬で「セルトリ細胞腫」という精巣腫瘍が発生すると、女性ホルモン(エストロゲン)が過剰に分泌されることがある
✅ これによって乳腺が発達し、乳腺腫瘍のリスクが高まることがある
③ 遺伝的要因
✅ 特定の犬種・猫種では乳腺腫瘍のリスクが高い可能性がある(詳しくは後述)
④ 老化
✅ 加齢によって細胞の異常が起こりやすくなるため、乳腺腫瘍のリスクが上がる
4. 【どんな犬・猫がなりやすい?】
◇ 犬の乳腺腫瘍が発生しやすいオスの犬種
✅ プードル
✅ ダックスフンド
✅ シーズー
✅ スパニエル系(キャバリアなど)
◇ 猫の乳腺腫瘍が発生しやすいオスの猫種
✅ シャム猫(特にリスクが高い)
✅ アビシニアン
✅ メインクーン
いずれもメスでの発生リスクが高い犬種・猫種ですが、オスでも発生する可能性があるため注意が必要です。
5. 【オスの乳腺腫瘍の症状】
オスの犬や猫に乳腺腫瘍が発生した場合、次のような症状が現れます。
✅ お腹や胸のあたりにしこりができる(特に乳首周辺)
✅ しこりが急に大きくなる
✅ しこりの周囲が赤くなる、ただれる
✅ しこりから血や膿が出る
✅ 食欲低下、元気がなくなる
悪性腫瘍の場合、肺などに転移することが多いため、咳や呼吸困難が見られることもあります。
6. 【オスの乳腺腫瘍の診断方法】
動物病院では、以下の検査を行い、乳腺腫瘍かどうかを診断します。
✅ 触診(しこりの大きさや硬さの確認)
✅ レントゲン検査(肺転移の有無をチェック)
✅ 超音波検査(しこりの内部構造を確認)
✅ 細胞診・生検(腫瘍の良性・悪性を判別)
特にオスの乳腺腫瘍は悪性率が高いため、早めの検査が重要です。
7. 【オスの乳腺腫瘍の治療法】
乳腺腫瘍の治療法は、腫瘍の状態や転移の有無によって異なります。
① 外科手術(腫瘍の切除)
✅ しこりが小さく、転移がない場合は手術で取り除く
✅ 進行が早いため、早期手術が推奨される
② 抗がん剤治療
✅ 悪性で転移がある場合、抗がん剤を使用することがある
✅ 効果はケースバイケースだが、延命が期待できる場合も
③ 緩和ケア
✅ 痛みを和らげるために鎮痛剤を使用する
✅ 炎症を抑えるために抗炎症薬を投与する
8. 【オスの乳腺腫瘍の予防策】
✅ 早期去勢手術(若いうちの去勢がホルモン影響を抑える)
✅ しこりのチェック(定期的にお腹を触って異常を確認)
✅ 定期健康診断(高齢になったら年1~2回の健康診断)
オスの乳腺腫瘍は珍しいですが、発見が遅れると転移しやすいため、こまめな健康チェックが重要です!
【まとめ】
✅ 乳腺腫瘍はオスの犬や猫にも発生するが、まれ!
✅ オスの乳腺腫瘍は悪性率が高いので、発見次第すぐ受診!
✅ ホルモン異常や加齢がリスク要因!
✅ 手術が最も有効な治療法!
✅ しこりを見つけたら、すぐに動物病院へ!
オスだからといって乳腺腫瘍を油断してはいけません。
大切な愛犬・愛猫の健康を守るために、定期的なチェックを習慣にしましょう!
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