前立腺がんはオスしかならない?メスにも発生する可能性は?

前立腺がんはオスしかならない?メスにも発生する可能性は?

前立腺がん(前立腺腫瘍)は、犬では比較的まれな病気ですが、高齢のオス犬で発生しやすいとされています。
しかし、「オスしかならないの?」と疑問に思う飼い主さんもいるかもしれません。

今回は、前立腺がんの発生原因、メスにも起こるのか、症状や治療法について詳しく解説します。


1. 【前立腺がんとは?】

前立腺がんは、前立腺というオス特有の臓器にできる悪性腫瘍です。

前立腺とは?
 ・オスの生殖器の一部で、膀胱の近くにある臓器
 ・精液の一部を作る働きがある
 ・男性ホルモン(テストステロン)の影響を受けて発達する

前立腺がんの特徴
 ・悪性度が高く、進行が速い
 ・転移しやすい(肺・骨・リンパ節など)
 ・去勢済み・未去勢に関わらず発生する


2. 【前立腺がんはオスしかならない?】

基本的にはオスにのみ発生する

前立腺はオスだけが持つ臓器のため、メスには前立腺が存在せず、基本的に前立腺がんにはなりません。

ただし、メスにも似た病気が起こる可能性はある

メスには前立腺がないため、厳密には前立腺がんにはなりません。
しかし、メスの尿道周辺や膀胱に腫瘍ができることがあり、前立腺がんと似た症状を引き起こすことがあります。

メスに発生する可能性のある類似疾患
 ・移行上皮癌(TCC:膀胱がん)
 ・尿道腫瘍
 ・腺癌(尿道や膀胱の腺細胞ががん化)

特に膀胱や尿道にできる腫瘍は、前立腺がんと似た症状(排尿困難や血尿)を引き起こすため、オスと同じように注意が必要です。


3. 【前立腺がんの症状】

前立腺がんは進行するまで目立った症状が出にくい病気ですが、次のような異変が現れることがあります。

排尿トラブル(おしっこが出にくい、頻尿、血尿)
排便困難(前立腺が大きくなり、腸を圧迫する)
歩き方の異常(後ろ足がふらつく、痛がる)
食欲不振・元気消失
体重減少

腫瘍が大きくなると、前立腺が膀胱や直腸を圧迫し、排尿や排便が困難になることがあります。


4. 【前立腺がんの診断方法】

直腸検査(前立腺の腫れや硬さを確認)
レントゲン・超音波検査(前立腺の大きさや形の変化を確認)
細胞診や生検(がん細胞の有無を調べる)
CT・MRI(転移の有無を詳しく検査)

前立腺がんは早期発見が難しいため、高齢のオス犬は定期的な健康診断が重要です。


5. 【前立腺がんの治療方法】

前立腺がんは進行が速く、手術が難しいケースが多いですが、以下の治療法が選択されます。

放射線治療

腫瘍を小さくする目的で実施
排尿・排便のトラブルを改善する可能性あり

抗がん剤治療

転移がある場合に有効なことがある
効果が限定的なこともあるため、他の治療と併用することが多い

緩和治療(対症療法)

痛みを抑える鎮痛剤(NSAIDs)を使用
尿道カテーテルや便を柔らかくする薬で排泄を助ける


6. 【前立腺がんを予防することはできる?】

去勢しても発生する可能性があるため、完全な予防法はない
高齢になったら定期的な健康診断を受ける
排尿・排便の異常を見つけたら早めに病院へ

去勢することで、前立腺肥大などの病気は予防できますが、前立腺がんの発生率にはあまり影響しないといわれています。


【まとめ】

前立腺がんはオス特有の病気で、メスには発生しない!
ただし、メスにも膀胱や尿道に腫瘍ができることがある!
前立腺がんは進行が速く、発見が遅れると転移しやすい!
排尿・排便の異常や歩き方の異常が見られたら早めに受診を!
定期的な健康診断で早期発見が重要!

前立腺がんは、オスの高齢犬で特に注意が必要な病気です。
排尿や排便に異常が見られたら、早めに動物病院で診察を受けるようにしましょう!

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
レラ動物病院
〒001-0907
北海道札幌市北区新琴似7条9丁目5−8
011-769-2500
セカンドオピニオンの方は事前に連絡ください。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-