前立腺がんはオスしかならない?メスにも発生する可能性は?
前立腺がん(前立腺腫瘍)は、犬では比較的まれな病気ですが、高齢のオス犬で発生しやすいとされています。
しかし、「オスしかならないの?」と疑問に思う飼い主さんもいるかもしれません。
今回は、前立腺がんの発生原因、メスにも起こるのか、症状や治療法について詳しく解説します。
1. 【前立腺がんとは?】
前立腺がんは、前立腺というオス特有の臓器にできる悪性腫瘍です。
✅ 前立腺とは?
・オスの生殖器の一部で、膀胱の近くにある臓器
・精液の一部を作る働きがある
・男性ホルモン(テストステロン)の影響を受けて発達する
✅ 前立腺がんの特徴
・悪性度が高く、進行が速い
・転移しやすい(肺・骨・リンパ節など)
・去勢済み・未去勢に関わらず発生する
2. 【前立腺がんはオスしかならない?】
◇ 基本的にはオスにのみ発生する
前立腺はオスだけが持つ臓器のため、メスには前立腺が存在せず、基本的に前立腺がんにはなりません。
◇ ただし、メスにも似た病気が起こる可能性はある
メスには前立腺がないため、厳密には前立腺がんにはなりません。
しかし、メスの尿道周辺や膀胱に腫瘍ができることがあり、前立腺がんと似た症状を引き起こすことがあります。
✅ メスに発生する可能性のある類似疾患
・移行上皮癌(TCC:膀胱がん)
・尿道腫瘍
・腺癌(尿道や膀胱の腺細胞ががん化)
特に膀胱や尿道にできる腫瘍は、前立腺がんと似た症状(排尿困難や血尿)を引き起こすため、オスと同じように注意が必要です。
3. 【前立腺がんの症状】
前立腺がんは進行するまで目立った症状が出にくい病気ですが、次のような異変が現れることがあります。
✅ 排尿トラブル(おしっこが出にくい、頻尿、血尿)
✅ 排便困難(前立腺が大きくなり、腸を圧迫する)
✅ 歩き方の異常(後ろ足がふらつく、痛がる)
✅ 食欲不振・元気消失
✅ 体重減少
腫瘍が大きくなると、前立腺が膀胱や直腸を圧迫し、排尿や排便が困難になることがあります。
4. 【前立腺がんの診断方法】
✅ 直腸検査(前立腺の腫れや硬さを確認)
✅ レントゲン・超音波検査(前立腺の大きさや形の変化を確認)
✅ 細胞診や生検(がん細胞の有無を調べる)
✅ CT・MRI(転移の有無を詳しく検査)
前立腺がんは早期発見が難しいため、高齢のオス犬は定期的な健康診断が重要です。
5. 【前立腺がんの治療方法】
前立腺がんは進行が速く、手術が難しいケースが多いですが、以下の治療法が選択されます。
① 放射線治療
✅ 腫瘍を小さくする目的で実施
✅ 排尿・排便のトラブルを改善する可能性あり
② 抗がん剤治療
✅ 転移がある場合に有効なことがある
✅ 効果が限定的なこともあるため、他の治療と併用することが多い
③ 緩和治療(対症療法)
✅ 痛みを抑える鎮痛剤(NSAIDs)を使用
✅ 尿道カテーテルや便を柔らかくする薬で排泄を助ける
6. 【前立腺がんを予防することはできる?】
✅ 去勢しても発生する可能性があるため、完全な予防法はない
✅ 高齢になったら定期的な健康診断を受ける
✅ 排尿・排便の異常を見つけたら早めに病院へ
去勢することで、前立腺肥大などの病気は予防できますが、前立腺がんの発生率にはあまり影響しないといわれています。
【まとめ】
✅ 前立腺がんはオス特有の病気で、メスには発生しない!
✅ ただし、メスにも膀胱や尿道に腫瘍ができることがある!
✅ 前立腺がんは進行が速く、発見が遅れると転移しやすい!
✅ 排尿・排便の異常や歩き方の異常が見られたら早めに受診を!
✅ 定期的な健康診断で早期発見が重要!
前立腺がんは、オスの高齢犬で特に注意が必要な病気です。
排尿や排便に異常が見られたら、早めに動物病院で診察を受けるようにしましょう!
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