前立腺がん:前立腺は手術で取れる臓器なの?
犬の前立腺がんは比較的まれな病気ですが、進行すると排尿や排便に影響を及ぼし、転移しやすい特徴を持ちます。
「前立腺がんになったら、手術で前立腺を取ることはできるの?」
と疑問に思う飼い主さんも多いでしょう。
今回は、前立腺の役割、手術の可否、治療方法について詳しく解説します。
1. 【前立腺の役割とは?】
前立腺とは、オスの犬や猫にある生殖器の一部で、膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲むように存在しています。
🔹 主な役割
✅ 精液の一部(前立腺液)を分泌し、精子の生存を助ける
✅ 射精時に収縮し、精液を押し出す
つまり、前立腺は生殖機能に関係する臓器ですが、生殖を目的としない場合、必ずしも必要な臓器ではありません。
2. 【前立腺がんになったら、前立腺を手術で取ることはできる?】
◇ 手術(前立腺全摘出)は一般的ではない
✅ 犬の前立腺は、膀胱や尿道と密接に関係しているため、完全に摘出するのは難しい
✅ 手術後に尿失禁(尿が漏れる状態)が高確率で起こる
✅ 既に転移していることが多く、手術だけでは根治が難しい
そのため、犬の前立腺がんに対して「前立腺全摘出」を行うことはほとんどなく、別の治療法が選択されることが多いです。
3. 【なぜ前立腺の手術が難しいのか?】
前立腺は膀胱や尿道、神経と密接に関係しているため、手術のリスクが高い臓器です。
🚨 前立腺全摘出のリスク
✅ 尿道が損傷し、尿が出せなくなることがある
✅ 膀胱や神経に影響を与え、重度の尿失禁が起こる
✅ 手術の成功率が低く、合併症が多い
そのため、前立腺がんの治療では手術よりも「放射線治療」や「緩和治療(痛みを抑える治療)」が選ばれることが一般的です。
4. 【前立腺がんの治療方法】
前立腺がんは進行が早く、転移しやすいため、手術以外の治療法が検討されます。
① 放射線治療(放射線照射)
✅ 腫瘍を縮小させ、症状を緩和する
✅ 手術よりも負担が少なく、生活の質(QOL)を維持しやすい
② 非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)
✅ 炎症や痛みを抑え、生活の質を改善する
✅ 一部の前立腺がんでは、進行を遅らせる効果が期待できる
③ ホルモン療法(去勢手術)
✅ 前立腺肥大には有効だが、前立腺がんにはあまり効果がない
✅ 進行がんの場合、去勢手術は推奨されない
5. 【前立腺がんの予後(寿命)は?】
前立腺がんは発見時にはすでに進行していることが多く、転移もしやすいため、予後はあまり良くないとされています。
🔹 平均生存期間の目安
✅ 緩和ケアのみの場合:数か月(3~6か月程度)
✅ 放射線治療を行った場合:6か月~1年程度の延命が期待できる
早期発見・早期治療が重要ですが、進行している場合は痛みを和らげる治療がメインとなります。
【まとめ】
🔹 前立腺は膀胱や尿道と密接に関係しているため、手術で取るのは難しい臓器!
🔹 前立腺全摘出は合併症(尿失禁・排尿障害)が多く、ほとんど実施されない!
🔹 治療は、放射線治療や緩和ケア(痛みを抑える治療)が中心!
🔹 前立腺がんは転移しやすいため、早期発見・早期治療が重要!
もし「最近おしっこの出が悪い」「便の形が細くなった」などの症状があれば、早めに動物病院で相談しましょう!
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レラ動物病院
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