前立腺癌はなぜなるの?原因と予防法を解説
犬の前立腺癌は、比較的まれな病気ですが、一度発症すると進行が早く、他の臓器に転移しやすい悪性腫瘍の一つです。
「なぜ前立腺癌になるの?」
「何か予防する方法はある?」
と気になる飼い主さんも多いでしょう。
今回は、犬の前立腺癌の原因、発症リスク、予防法について詳しく解説します。
1. 【前立腺癌とは?】
前立腺癌(ぜんりつせんがん)とは、前立腺に発生する悪性腫瘍のことです。
✅ 犬では比較的まれな病気(腫瘍全体の1~2%程度)
✅ 進行が速く、肺・骨・リンパ節などに転移しやすい
✅ 高齢のオス犬(8歳以上)で発生しやすい
特に小型犬よりも大型犬で発生しやすい傾向があります。
2. 【前立腺癌の原因】
前立腺癌のはっきりとした原因はまだ完全には解明されていません。
しかし、発症に関係すると考えられている要因はいくつかあります。
◇ ① 加齢
✅ 高齢のオス犬に多く発生する
✅ 前立腺の細胞が老化し、異常増殖しやすくなる
特に8歳以上の犬でリスクが高まるとされています。
◇ ② ホルモンの影響
✅ 男性ホルモン(テストステロン)が関与している可能性
✅ 避妊・去勢をしていないオス犬で前立腺疾患が多く見られる
しかし、犬の前立腺癌に関しては、去勢した犬でも発症することがあるため、ホルモンだけが原因とは言い切れません。
◇ ③ 遺伝的要因
✅ 特定の犬種で発症しやすい可能性
✅ ゴールデン・レトリバー、シェパード、スコティッシュ・テリアなどで発生しやすい
ただし、犬種ごとの発症率に関する研究はまだ十分ではないため、明確な遺伝的要因は不明です。
◇ ④ 慢性的な前立腺の炎症
✅ 前立腺炎や前立腺肥大などの疾患が長期間続くと、がん化するリスクがある
✅ 慢性的な炎症による細胞のダメージが影響している可能性
特に、高齢になってから前立腺肥大を発症した犬は、前立腺癌になるリスクが高いとされています。
◇ ⑤ 環境要因(食事・生活習慣)
✅ 肥満や食事の影響も関与する可能性
✅ 抗酸化作用のある栄養素(ビタミンE、DHAなど)が不足するとリスクが高まる可能性
人間の前立腺癌では、高脂肪食や肥満がリスク因子になることが知られていますが、犬でも同様の関連がある可能性が指摘されています。
3. 【前立腺癌の主な症状】
前立腺癌は進行するまで症状が分かりにくいことが多いですが、以下のような変化が見られたら注意が必要です。
✅ 便の形が細くなる(前立腺が肥大し、直腸を圧迫するため)
✅ 頻尿や尿が出にくい(尿道が圧迫されるため)
✅ 血尿が出る
✅ 歩き方がぎこちなくなる(後ろ足が弱る)
✅ 元気がなくなる、食欲が低下する
特に、「最近、便の形が細くなった」「排尿時に痛がる」などの症状があれば、早めに動物病院を受診しましょう!
4. 【前立腺癌の診断方法】
前立腺癌の診断には、以下の検査が行われます。
✅ 直腸検査(前立腺の腫れや硬さを確認)
✅ 超音波検査(前立腺の大きさや腫瘍の有無を調べる)
✅ レントゲン検査(転移がないかチェック)
✅ 尿検査(感染や炎症の有無を確認)
✅ 細胞診・生検(腫瘍の性質を詳しく調べる)
5. 【前立腺癌の治療方法】
前立腺癌の治療法としては、以下の方法があります。
① 外科手術(摘出手術)
✅ 前立腺全摘出はリスクが高いため、一般的には行われない
✅ 腫瘍の一部を切除して症状を和らげることがある
② 放射線治療
✅ 腫瘍を縮小させ、症状を軽減する目的で行う
✅ 手術が難しい場合に有効なことがある
③ 抗がん剤治療
✅ 前立腺癌は抗がん剤が効きにくいが、一部の薬が効果を示すこともある
✅ ピロキシカム(NSAIDs)という消炎鎮痛剤が有効な場合も
④ 緩和ケア(症状を和らげる治療)
✅ 排尿・排便をしやすくする処置
✅ 痛みを和らげる鎮痛剤の使用
6. 【前立腺癌の予防方法】
前立腺癌を100%防ぐ方法はまだ確立されていませんが、リスクを下げるためのポイントを紹介します。
✅ 前立腺の健康を定期的にチェックする(高齢のオス犬は特に注意)
✅ 適度な運動とバランスの良い食事を心がける
✅ 抗酸化作用のある栄養素(ビタミンE、DHAなど)を含む食事を与える
✅ 前立腺肥大や慢性炎症の治療を早めに行う
また、前立腺肥大のリスクを抑えるために、若いうちに去勢手術を行うことも検討するとよいでしょう。
【まとめ】
✅ 前立腺癌の明確な原因は不明だが、加齢・ホルモン・炎症・遺伝・環境が関与している可能性が高い!
✅ 高齢のオス犬(特に8歳以上)で発症リスクが高まる!
✅ 便が細くなる、血尿が出る、排尿しにくいなどの症状が見られたら早めに病院へ!
✅ 手術・放射線・抗がん剤などの治療法があるが、早期発見が重要!
✅ バランスの取れた食事や適度な運動で、前立腺の健康を保つことが大切!
「最近、排尿の様子がおかしい」「便の形が変わった」などの変化があれば、早めに動物病院で診察を受けましょう!
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