乳腺腫瘍、大きくなったらどうなる?

乳腺腫瘍、大きくなったらどうなる?

犬や猫の乳腺腫瘍は、特に避妊手術をしていないメスに多く見られる腫瘍の一つです。初めは小さなしこりでも、時間が経つにつれて大きくなり、さまざまな影響を及ぼします。

「乳腺腫瘍が大きくなるとどうなるの?」
「手術しないとどんなリスクがあるの?」

今回は、乳腺腫瘍が大きくなった場合の影響や治療法について詳しく解説します。


1. 【乳腺腫瘍とは?】

**乳腺腫瘍は、乳腺組織にできるしこり(腫瘍)**のことを指します。

良性腫瘍:ゆっくり成長し、転移のリスクが低い
悪性腫瘍(乳がん):急速に成長し、肺やリンパ節などに転移することがある

犬では乳腺腫瘍の約50%が悪性、猫では約90%が悪性と言われています。


2. 【乳腺腫瘍が大きくなるとどうなる?】

皮膚が裂けて潰瘍ができる

✅ 腫瘍が大きくなりすぎると、皮膚が引き伸ばされて血流が悪くなり、傷ができる
✅ 潰瘍部分から出血や膿が出ることがあり、感染のリスクが高まる
✅ 強い痛みを伴うことがある

→ 腫瘍が破れると、細菌感染を起こしやすく、治療がより困難になるため、早めの対応が重要!


歩行や生活に支障が出る

✅ 大きな腫瘍が下腹部にあると、歩行の邪魔になる
✅ 腫瘍が重くなり、寝たきりになることもある
✅ 痛みや違和感で食欲が落ち、元気がなくなる

→ 大きくなると日常生活にも影響が出るため、腫瘍が小さいうちに治療することが理想的!


転移のリスクが高まる

悪性の乳腺腫瘍は、時間が経つと肺やリンパ節に転移することがある
✅ 肺に転移すると、咳や呼吸困難などの症状が出る
✅ 体の他の臓器に転移すると、症状が進行してしまう

→ 乳腺腫瘍が大きくなるほど転移のリスクも高まるため、早めの診断と治療が必要!


全身状態が悪化する(体力の低下)

✅ 乳腺腫瘍が大きくなると、体が腫瘍にエネルギーを奪われ、痩せてしまう
✅ 慢性的な炎症や感染症が続くと、免疫力が低下する
✅ 貧血や脱水を引き起こすこともある

→ 体力が低下すると手術ができなくなる可能性があるため、早めの治療が重要!


3. 【乳腺腫瘍の治療方法】

◆ ① 外科手術(腫瘍の切除)

最も有効な治療法は手術
✅ 乳腺腫瘍の大きさや転移の有無によって、切除範囲を決定
✅ 早期の手術ほど再発リスクが低く、予後が良い

→ 小さいうちに切除すれば、完治する可能性が高い!


◆ ② 抗がん剤治療

悪性の腫瘍で転移がある場合、抗がん剤を使用することがある
肺転移や再発リスクが高い場合に適応
犬では効果が限定的、猫では一定の効果が期待できる

→ 進行がんの場合、外科手術と併用することがある!


◆ ③ 緩和ケア(痛みを和らげる治療)

腫瘍が大きくなりすぎた場合、手術が難しいこともある
痛みや感染を抑えるため、抗炎症剤や抗生物質を使用
出血や潰瘍がある場合は、消毒や包帯処置を行う

→ 緩和ケアは根本的な治療ではなく、症状を和らげるための対処療法!


4. 【予防と早期発見のポイント】

🔹 ① 乳腺腫瘍のチェック方法

お腹や脇をなでて、しこりがないか確認
左右対称に触り、違和感がある場合はすぐに病院へ
しこりの大きさや硬さをメモしておくと、診察時に役立つ


🔹 ② 避妊手術で発症リスクを低下させる

犬の場合、初回発情前(生後6か月前後)の避妊手術で乳腺腫瘍の発生率が約99%減少!
猫の場合も避妊手術をすることで乳腺腫瘍のリスクが大幅に下がる!

→ 早期の避妊手術は、乳腺腫瘍の最も効果的な予防策!


【まとめ】

乳腺腫瘍が大きくなると、潰瘍や感染を起こしやすくなる!
歩行や生活に影響が出るため、早期治療が重要!
悪性腫瘍は転移のリスクがあるため、早めに病院で検査を!
外科手術が最も有効な治療法!
避妊手術を行うことで、発症リスクを大幅に減らせる!

「しこりが小さいから大丈夫」と思って放置すると、気づいたときには腫瘍が大きくなり、治療が難しくなることもあります。

「少しでも気になるしこりがある」「最近しこりが大きくなってきた」などの異変を感じたら、早めに動物病院を受診しましょう!

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
レラ動物病院
〒001-0907
北海道札幌市北区新琴似7条9丁目5−8
011-769-2500
セカンドオピニオンの方は事前に連絡ください。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-