肝臓腫瘍、ほっといて大丈夫ってほんと?——気づいたら大きくなっている!?
「肝臓に腫瘍があると言われたけど、特に症状もないし、元気そうだから様子を見てもいいのかな?」
「でも、気づいたらどんどん大きくなっている…このままで大丈夫?」
肝臓腫瘍は、初期症状がほとんどないことが多く、「様子見でいいのか」「治療すべきなのか」迷う飼い主さんも少なくありません。
今回は、肝臓腫瘍について詳しく解説し、「ほっといても本当に大丈夫なのか?」を考えてみましょう。
1. 【肝臓腫瘍とは?】
肝臓腫瘍は、**肝臓にできる腫瘍(しこり・できもの)**のことを指します。
◇ 肝臓腫瘍の種類
肝臓にできる腫瘍は、大きく良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられます。
① 良性腫瘍(比較的穏やかなもの)
- 肝細胞腺腫(かんさいぼうせんしゅ)
- 胆管腺腫(たんかんせんしゅ)
- 結節性過形成(けっせつせいかけいせい)
良性の腫瘍はゆっくり成長し、転移することはないですが、大きくなると肝臓の機能を圧迫したり、破裂して出血するリスクがあります。
② 悪性腫瘍(進行性で危険なもの)
- 肝細胞癌(かんさいぼうがん)
- 胆管癌(たんかんがん)
- 転移性肝腫瘍(他の臓器から転移した腫瘍)
悪性腫瘍は、周囲の組織に広がったり、遠隔転移(肺やリンパ節などへ)が起こる可能性があるため、注意が必要です。
2. 【肝臓腫瘍の症状は?】
「特に症状がないから大丈夫」と思っていませんか?
実は、肝臓腫瘍は進行するまでほとんど症状が出ないことが多いのです。
◇ 肝臓腫瘍が進行すると現れる症状
✔ 食欲不振(急に食べる量が減る)
✔ 体重減少(ゆっくりと痩せてくる)
✔ お腹が膨れる(腫瘍が大きくなる or 腹水が溜まる)
✔ 元気がない(だるそうにする、寝ていることが多い)
✔ 嘔吐や下痢(消化不良や肝機能の低下による)
✔ 黄疸(おうだん)(目の白目や歯茎が黄色っぽくなる)
特に「お腹が大きくなってきた」と感じたら、腫瘍の成長や腹水の可能性があるため、すぐに病院へ!
3. 【ほっといても大丈夫?】
結論から言うと、「ほっといていい肝臓腫瘍」と「ほっとくと危険な肝臓腫瘍」があります。
◇ ほっといてもいい場合
✅ 良性腫瘍で、成長が遅く、健康状態に影響がない場合
✅ **定期検査(エコー・血液検査)**で変化がないことが確認できている場合
しかし、たとえ良性でも大きくなりすぎると肝臓の圧迫や破裂のリスクがあるため、定期的なチェックが必要です。
◇ ほっとくと危険な場合
❌ 短期間で大きくなっている(悪性の可能性あり)
❌ 貧血や黄疸が出ている(肝機能低下のサイン)
❌ 他の臓器へ転移が見られる(命に関わる可能性)
「大きくなっている」と気づいたら、一度病院で詳しい検査を受けることをおすすめします。
4. 【病院で行う検査】
肝臓腫瘍が疑われた場合、以下のような検査を行います。
✔ 超音波検査(エコー):腫瘍の形や大きさを確認
✔ 血液検査:肝臓の機能(ALT・AST・ALP・GGTなど)をチェック
✔ X線検査:肝臓の腫れや肺への転移の有無を確認
✔ CT検査:腫瘍の詳しい位置や血流の状態を把握
5. 【治療方法は?】
腫瘍の種類や大きさ、動物の体調によって治療方法が変わります。
◇ ① 手術(外科的切除)
- 良性腫瘍でも大きくなっている場合、手術で摘出することが多い
- 悪性腫瘍でも、転移がない場合は外科的に取り除くことができる
💡 特に単発の肝細胞癌は、手術で完治できる可能性が高い!
◇ ② 内科治療(薬物治療)
- 手術が難しい場合、**抗がん剤や対症療法(食事療法・肝臓サポート薬)**を行う
- 完全に治るわけではないが、腫瘍の進行を遅らせることができる
6. 【まとめ】——「大きくなっている」は危険信号かも!
✔ 肝臓腫瘍は、良性・悪性があるが、どちらも注意が必要!
✔ 初期症状が少なく、気づいたときには進行していることが多い
✔ 「短期間で大きくなっている」場合は要注意!
✔ 定期的な検査を受け、早期発見・早期治療が重要
「様子を見よう」と放置するのではなく、「今後どうすべきか?」を獣医師と相談することが大切です。
大切な家族の健康を守るためにも、気になったら早めの受診をおすすめします!
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レラ動物病院
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