【動物病院ブログ】6歳で突然できた大きなできもの——放っておいて大丈夫?
「6歳のうちの子、元気で食欲もあるのに、突然皮膚に大きなできものができた…でも本人は気にしていないし、このままでいいの?」
このような相談を受けることは少なくありません。元気で普段通り過ごしていると、「様子を見ていいのかな?」と思うかもしれませんが、皮膚のできものは良性のものから悪性のものまでさまざま。今回は、突然できた皮膚のできものについて詳しくお話しします。
1. 【皮膚のできものは何?考えられる原因】
動物の皮膚にできる「できもの(しこり・腫瘤)」は、いくつかの原因が考えられます。
① 良性腫瘍
- 皮膚組織球腫:若い犬に多く見られるが、まれに成犬でも発生。数週間で自然に小さくなることもある。
- 脂肪腫:皮膚の下にできる柔らかい腫瘤。ゆっくり成長し、基本的に無害。
- 汗腺腫や毛包腫:皮膚に発生する小さなしこり。炎症を起こさなければ大きな問題にはならない。
② 悪性腫瘍の可能性も
- 肥満細胞腫:犬に多い腫瘍のひとつで、放っておくと急激に大きくなることがある。
- 扁平上皮癌:日光による影響が大きい腫瘍。特に薄い被毛の犬種に多い。
- 血管肉腫:進行が速く、転移しやすいタイプの腫瘍。
③ 炎症や感染によるもの
- 膿瘍(のうよう):細菌感染によって膿が溜まり、腫れを伴うしこりができる。
- 皮膚の嚢胞(のうほう):皮脂や老廃物が詰まり、徐々に大きくなる。
見た目だけでは良性・悪性の判断は難しく、獣医師の診察が必要です。
2. 【症状がなくても油断できない理由】
「うちの子は6歳で元気いっぱい!食欲もあるし、できものも気にしていないし…」
そう思う飼い主さんは多いですが、腫瘍の中には進行しても痛みや違和感がないものが多いため、動物自身が気にしないこともあります。
しかし、次のような変化が見られた場合は要注意です。
✔ 短期間で急に大きくなっている
✔ 表面が赤くなったり、出血している
✔ 硬くて動かないしこり(通常の脂肪腫は柔らかく動くことが多い)
✔ 潰瘍ができ、膿や液体が出ている
こうした症状がある場合は、なるべく早く病院で診てもらうことが大切です。
3. 【病院ではどんな検査をするの?】
診察では、まず視診・触診で大きさや硬さ、場所を確認します。その後、必要に応じて以下のような検査を行います。
① 超音波検査(エコー)
腫瘍の内部構造や周囲の組織への影響を調べます。
② 血液検査
全身状態のチェックや、腫瘍に関連する異常の有無を確認します。
③ X線検査・CT検査
大きな腫瘤や、転移が疑われる場合に実施します。
しこりの種類によっては、手術で切除して**病理検査(組織検査)**を行い、腫瘍の性質を詳しく調べることもあります。
4. 【治療方法は?】
腫瘍の種類や進行具合に応じて、治療法が異なります。
① 経過観察
- 良性腫瘍で成長が遅く、動物の生活に支障がない場合は経過観察することもあります。
- ただし、定期的なチェックが必要です。
② 外科手術(腫瘍の切除)
- 悪性の疑いがある場合や急速に大きくなる場合は、早めの切除が推奨されます。
- 手術の難易度は、腫瘍の場所や大きさによって変わります。
③ 抗がん剤や放射線治療
- 手術が難しい場合や転移がある場合に検討されます。
- ただし、すべての腫瘍に効果があるわけではなく、副作用のリスクも考慮する必要があります。
5. 【まとめ】——気づいたら、まずは獣医師に相談!
✔ 6歳で突然大きな皮膚のしこりができても、動物が気にしないからといって安心できない!
✔ しこりの種類は多く、良性・悪性の判断は見た目だけでは難しい
✔ 短期間で大きくなる・出血・硬いしこりは要注意!
✔ 病院で適切な検査を受け、必要に応じて手術や治療を検討することが重要
「元気だから大丈夫!」と思わずに、まずは獣医師に相談してみてください。
早期発見・早期治療が、大切な家族の健康を守る第一歩になります!
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