腫瘍が「がん化」する環境とは?~ペットの健康を守るために~

腫瘍が「がん化」する環境とは?~ペットの健康を守るために~

愛犬・愛猫の健康を気にする飼い主さんにとって、「腫瘍」という言葉はとても気になるものですよね。腫瘍には**良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)**がありますが、良性の腫瘍が悪性化(がん化)することはあるのでしょうか?

実は、腫瘍のがん化には特定の環境要因が関係していることがわかっています。今回は、腫瘍ががん化するメカニズムや、飼い主さんが気をつけるべき環境要因、予防策について詳しく解説します。


1. 【そもそも腫瘍とは?】

◆ 良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)の違い

腫瘍とは、細胞が異常に増殖することでできる「しこり」のことです。腫瘍には良性腫瘍と**悪性腫瘍(がん)**の2種類があります。

分類特徴転移の有無進行の速さ
良性腫瘍ゆっくり増殖し、周囲の組織を壊しにくい転移しない遅い
悪性腫瘍(がん)増殖が速く、周囲の組織を破壊する転移することがある速い

一般的に、良性腫瘍はすぐに命に関わるものではありませんが、大きくなりすぎたり、悪性化(がん化)したりすることがあるため注意が必要です。


2. 【腫瘍ががん化する環境とは?】

良性腫瘍が悪性腫瘍に変わる(がん化する)可能性があるとしたら、その背景にはどのような環境要因があるのでしょうか?

◆ ① 慢性的な炎症

炎症が長く続くと、がんのリスクが高まるといわれています。

例えば、以下のような炎症は要注意です。
口の中の炎症(歯周病、口内炎) → 口腔内の腫瘍のリスク増加
皮膚の慢性的な傷や感染 → 皮膚腫瘍の悪性化の可能性
膀胱炎や尿路感染症 → 膀胱の腫瘍のリスク増加

炎症が続くと、細胞がダメージを受けて遺伝子異常が起こりやすくなり、がん化する可能性があります。


◆ ② 紫外線や環境ストレス

紫外線(UV)は、皮膚の細胞にダメージを与え、皮膚がんの原因になることがあります。

短毛種や白毛の犬・猫は特に注意!
(例)白猫の耳や鼻に皮膚がん(扁平上皮癌)が発生しやすい

また、環境ストレス(騒音、不安、生活リズムの乱れ)も免疫力を低下させ、がんのリスクを高める要因になる可能性があります。


◆ ③ ホルモンの影響

ホルモンバランスの乱れも、腫瘍の悪性化に関係することがあります。

未避妊のメス犬・メス猫 → 乳腺腫瘍(がん化することが多い)
未去勢のオス犬 → 前立腺腫瘍のリスク増加

特に、**犬の乳腺腫瘍の50%は悪性腫瘍(がん)**とされ、早期の避妊手術で発生リスクを低減できます。


◆ ④ 化学物質・食品添加物

環境中の化学物質や、食品の添加物なども、長期的な影響でがんのリスクを高める可能性があります。

農薬や除草剤の影響(芝生で遊ぶ犬のリンパ腫リスクが高まる)
酸化防止剤や保存料を含むフード(長期摂取による影響)

無添加フードやオーガニック食品を選ぶことで、リスクを軽減できるかもしれません。


3. 【がん化を防ぐためにできること】

◆ ① 定期的な健康診断を受ける

がんは早期発見が重要です。定期的な健康診断を受けることで、腫瘍の早期発見が可能になります。

年1回(7歳以上は年2回)の健康診断を受ける
気になる「しこり」を見つけたら、すぐに病院へ!


◆ ② 生活習慣を見直す

普段の生活習慣を改善することで、がんのリスクを減らすことができます。

バランスの良い食事を与える(抗酸化作用のある食材を取り入れる)
適度な運動で免疫力を維持する
紫外線対策をする(白毛の動物は日差しを避ける)


◆ ③ 予防的手術(避妊・去勢)を検討する

避妊・去勢手術は、特定のがんを予防する効果があります。

乳腺腫瘍のリスクを減らす(メス犬・猫)
前立腺腫瘍の予防(オス犬)

特に、初めての発情前(生後6か月前後)に避妊手術をすると、乳腺腫瘍の発生率が大幅に低下します。


【まとめ】

腫瘍ががん化する環境には、「慢性炎症」「紫外線」「ホルモン」「化学物質」などが関係!
定期的な健康診断と生活習慣の見直しが、がん化を防ぐポイント!
早期の避妊・去勢手術は、特定のがんのリスクを低下させる!

ペットが健康で長生きするために、腫瘍の早期発見と適切な予防策を心がけましょう!
気になる症状があれば、早めに動物病院に相談してくださいね!

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