リンパ腫ってどこにできるの?飼い主様へ

【動物病院ブログ】リンパ腫ってどこにできるの?飼い主様へ

「リンパ腫」と聞くと、人間の病気を思い浮かべるかもしれませんが、実は犬や猫でも発症することがあります。リンパ腫は**悪性の腫瘍(がん)**の一種で、進行が早いため早期発見と治療が重要です。

今回は、リンパ腫がどこにできるのか、症状や治療法、飼い主様が気をつけるべきポイントについて詳しく解説します。


1. 【リンパ腫とは?】

リンパ腫は、リンパ球という免疫細胞が異常増殖する病気です。リンパ球は、体内で細菌やウイルスと戦う重要な役割を持っていますが、異常を起こすとがん化し、全身に広がることがあります。

犬や猫に発生する腫瘍の中でも比較的多くみられ、進行が早いため、できるだけ早く診断・治療を行うことが重要です。


2. 【リンパ腫はどこにできるの?】

リンパ腫は全身のさまざまな場所に発生する可能性があります。主な発生部位ごとに症状を解説します。

多中心型リンパ腫(全身のリンパ節)

最も多いタイプ(犬のリンパ腫の約80%)
首や脇の下、後ろ足の付け根(鼠径部)のリンパ節が腫れる
痛みはあまりないが、腫れがどんどん大きくなる
食欲不振や元気の低下

このタイプは、触るとコリコリしたしこりが確認できるため、飼い主様が気づきやすいのが特徴です。

消化器型リンパ腫(胃や腸)

嘔吐や下痢を繰り返す
血便や黒っぽい便が出ることがある
急激な体重減少
お腹を触ると痛がる

このタイプは、慢性的な消化器症状が続くため、食欲不振や体重減少が目立つことが多いです。

縦隔型リンパ腫(胸の中)

呼吸が苦しそう(浅く速い呼吸)
咳をする、息がゼーゼーする
元気がなくなる
顔や前足がむくむことがある

胸の中に腫瘍ができると、肺や気管を圧迫し、呼吸困難を引き起こします。重症化すると酸素吸入が必要になることもあります。

皮膚型リンパ腫(皮膚・口の中)

赤い斑点やしこりができる
脱毛や皮膚のただれがみられる
口の中に潰瘍ができ、よだれが増える

最初は皮膚病と間違えられることが多いですが、ステロイド治療をしても改善しない場合はリンパ腫の可能性があります。

中枢神経型リンパ腫(脳や脊髄)

ふらつく、足がもつれる
発作(けいれん)を起こす
意識がもうろうとする

脳や脊髄にリンパ腫ができると、神経症状が現れるのが特徴です。歩行困難や発作が続く場合は、早急に病院へ相談する必要があります。


3. 【リンパ腫の診断方法】

リンパ腫が疑われる場合、動物病院では以下の検査を行います。

触診(リンパ節の腫れを確認)
細胞診(腫れたリンパ節の細胞を調べる)
血液検査(貧血や炎症の有無を確認)
超音波検査(消化器や胸部の腫瘍を調べる)
X線(レントゲン)検査(肺や骨への転移を確認)

これらの検査を組み合わせ、リンパ腫の確定診断を行います。


4. 【リンパ腫の治療方法】

リンパ腫の治療は、**化学療法(抗がん剤)**が中心となります。

抗がん剤治療

最も一般的な治療法
複数の抗がん剤を組み合わせて使用する
副作用は少なく、多くの犬猫が生活の質を維持できる

抗がん剤治療は完全に治すというよりも、病気の進行を遅らせることが目的です。治療によって平均1年ほどの延命が期待できることが多いですが、個体差があります。

ステロイド治療(対症療法)

抗がん剤が難しい場合に使用
一時的に腫瘍を縮小させる効果あり
長期的には効果が低下することが多い

放射線治療や手術(部位による)

皮膚型リンパ腫では放射線が有効なことがある
消化器型リンパ腫では、腸閉塞が起きた場合に手術を行うことがある


5. 【飼い主様が気をつけるべきポイント】

体を定期的に触り、リンパ節の腫れをチェック
食欲不振や体重減少などの異変に気づく
慢性的な下痢や嘔吐は早めに受診
呼吸が苦しそうな場合はすぐに動物病院へ

リンパ腫は進行が早いため、早期発見がとても重要です。特に高齢の犬猫は定期的な健康診断を受けることをおすすめします。


【まとめ】

リンパ腫は全身のさまざまな場所にできる悪性腫瘍!
最も多いのは「多中心型」でリンパ節が腫れるタイプ!
胃腸、胸の中、皮膚、神経などにも発生する!
治療の中心は抗がん剤治療で、生活の質を維持しながら治療を進める!
定期的な健康チェックで早期発見がカギ!

愛犬・愛猫の健康を守るために、日々のスキンシップで異変に気づくことが大切です。気になる症状があれば、すぐに動物病院へご相談ください。

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