リンパ腫は治らない病気――愛犬・愛猫とどう向き合うか

リンパ腫は治らない病気――愛犬・愛猫とどう向き合うか

「リンパ腫」と診断されたら、多くの飼い主さんは「治るのか?」と不安になることでしょう。しかし、結論から言うと、リンパ腫は治らない病気です

犬や猫におけるリンパ腫は、進行が早く、完治することはありません。治療をしても、いつかは病気が進行し、命を奪ってしまう病気です。今回は、リンパ腫について詳しく解説し、どのように向き合っていくべきかをお伝えします。


1. 【リンパ腫とは?】

リンパ腫は、血液のがんの一種で、リンパ球(白血球の一部)が異常に増殖する病気です。リンパ球は体の免疫を担う細胞ですが、がん化するとコントロールが効かなくなり、全身に広がってしまうのが特徴です。

リンパ腫は主に以下のような部位で発生します。

全身のリンパ節(首・脇・股など)
消化管(胃や腸)
皮膚
肝臓や脾臓
骨髄や中枢神経

どこで発生しても、進行を止めることはできません


2. 【リンパ腫の症状】

リンパ腫の症状は、発生部位によって異なりますが、どのタイプでも治ることはありません

◆ リンパ節が腫れるタイプ(多中心型リンパ腫)

首や脇のリンパ節が腫れる(しこりが大きくなる)
食欲が落ちる、元気がなくなる
体重が減る

このタイプは、気づいたときにはすでに進行していることがほとんどです。

◆ 消化器にできるタイプ(消化器型リンパ腫)

下痢や嘔吐を繰り返す
血便や黒い便が出る
急激な体重減少

胃や腸にできるリンパ腫は、症状が急激に悪化することが多く、数週間で状態が悪くなることもあります。

◆ 皮膚にできるタイプ(皮膚型リンパ腫)

赤い発疹やただれが広がる
かさぶたができるが治らない
全身の毛が抜ける

皮膚型リンパ腫は、薬を使っても改善せず、じわじわと悪化していくのが特徴です。


3. 【リンパ腫はなぜ治らないのか?】

◆ ① がん細胞が全身に広がるため

リンパ腫は、血液のがんなので、全身に広がるスピードが速いです。
手術でがんを取り除くことができる他の腫瘍とは違い、リンパ腫はどこか一部を切除しても意味がありません

◆ ② 抗がん剤を使っても最終的には効果がなくなる

抗がん剤で一時的に症状が軽くなることはありますが、いずれ薬が効かなくなり、病気が再び進行します
どんなに強い薬を使っても、完全にがん細胞を消すことはできないのです。

◆ ③ 進行が早い

リンパ腫は、診断されたときにはすでに進行していることが多く、放置すると1~2ヶ月で命を落とすことも珍しくありません


4. 【リンパ腫の治療について】

**「治らないなら、治療はしないほうがいいのか?」**と考える飼い主さんもいるかもしれません。

確かに、リンパ腫は完治しませんが、治療を行うことで余命を延ばし、愛犬・愛猫と過ごせる時間を増やせることがあります。

◆ ① 抗がん剤治療(化学療法)

効果がある期間は限られている
副作用が出ることがある(嘔吐・下痢・食欲不振)
治療を続けても、いずれ進行してしまう

抗がん剤を使うと、一時的に腫れが引いたり、症状が軽くなったりします。しかし、どんな治療をしても、最終的には病気が進行してしまうため、延命治療という位置づけになります。

◆ ② 痛みを和らげる治療(緩和ケア)

ステロイドで症状を抑える
痛みを和らげる鎮痛剤を使う
体力を維持するための栄養管理を行う

リンパ腫が治らない以上、どう最期を迎えるかを考えることが大切です。


5. 【飼い主としてできること】

リンパ腫と診断されたら、**「どうすれば病気と上手に付き合いながら、最期の時間を穏やかに過ごせるか」**を考えることが重要です。

愛犬・愛猫がつらそうにしていないか?
食事はとれているか?
飼い主さんとの時間を楽しめているか?

無理に治療を続けるよりも、愛犬・愛猫の苦しみを減らし、できるだけ穏やかに過ごせるようにすることが大切です。


【まとめ】

リンパ腫は治らない病気であり、完治することはない
治療をしても、最終的には病気が進行する
抗がん剤は一時的な延命にはなるが、最終的には効果がなくなる
大切なのは、最期の時間をどう過ごすかを考えること

リンパ腫の治療には、飼い主さんの決断が必要です。後悔のない選択をするために、獣医師とよく相談しながら、愛犬・愛猫の気持ちを第一に考えてあげましょう。

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