リンパ腫は遺伝するの?犬や猫の発症リスクと最新の研究

リンパ腫は遺伝するの?犬や猫の発症リスクと最新の研究

犬や猫のリンパ腫は、比較的よく見られる悪性腫瘍の一つです。特に犬では、がん全体の中でも発生率が高いとされています。

「うちの子の親もリンパ腫だったけど、遺伝するの?」
「犬種によって発症しやすいって聞いたけど、本当?」

こういった疑問を持つ飼い主さんも多いのではないでしょうか?本記事では、リンパ腫の遺伝との関係や発症しやすい犬種、予防策について詳しく解説します。


1. 【リンパ腫とは?】

**リンパ腫とは、リンパ球が異常に増殖する悪性腫瘍(がん)**の一種です。リンパ球は、体の免疫システムの一部として働く重要な細胞であり、リンパ節や脾臓、骨髄などに存在します。

リンパ腫は、主にリンパ節が腫れることで発見されることが多いですが、皮膚や消化管、眼、神経系などにも発生することがあります。


2. 【リンパ腫は遺伝するの?】

◇ 遺伝の可能性はあるが、100%ではない

現在の研究では、リンパ腫の発症には遺伝的要因が関係している可能性があると考えられています。しかし、完全に遺伝するわけではなく、環境要因や生活習慣も大きく影響することがわかっています。

例えば、ある特定の犬種でリンパ腫の発生率が高いことが報告されており、これは遺伝的要因が関与している可能性を示唆しています。

一方で、たとえ親犬がリンパ腫を発症していたとしても、必ずしも子犬が発症するわけではありません。遺伝だけでなく、ウイルス感染、環境汚染物質、食事などの影響も考えられるため、多因子疾患として捉えられています。


3. 【リンパ腫の発症リスクが高い犬種】

研究によると、以下の犬種はリンパ腫の発症率が高いと報告されています。

ゴールデン・レトリーバー
ボクサー
バセット・ハウンド
シェットランド・シープドッグ
バーニーズ・マウンテン・ドッグ
ラブラドール・レトリーバー

特にゴールデン・レトリーバーは、他の犬種に比べてリンパ腫の発症リスクが高いことが知られています。

これは、この犬種に特定の遺伝的変異がある可能性が指摘されており、現在も研究が進められています。


4. 【猫のリンパ腫は遺伝するの?】

猫のリンパ腫については、犬と比べて遺伝的要因よりもウイルス感染が大きな要因と考えられています。

◆ 猫白血病ウイルス(FeLV)が関与

猫では、猫白血病ウイルス(FeLV)感染がリンパ腫の発症リスクを高めることが分かっています。
FeLV陽性の猫では、リンパ腫の発症率が高い
FeLVワクチンの普及で発症率が低下している

FeLVに感染した猫は、正常なリンパ球ががん化しやすくなり、リンパ腫を発症しやすくなります。しかし、FeLV陰性の猫でもリンパ腫を発症することがあるため、他の環境要因も関係していると考えられています。


5. 【リンパ腫の原因と予防策】

リンパ腫の発症には、遺伝だけでなくさまざまな要因が関与しています。

◆ ① 環境要因

農薬や除草剤の使用:発がん性が指摘されている
空気中の汚染物質:工業地帯の犬に発症率が高いという報告あり

◆ ② 免疫の低下

ストレスが多い生活(多頭飼いや頻繁な引っ越し)
慢性的な炎症(皮膚病やアレルギーなど)

◆ ③ 食事と栄養

酸化防止作用のある栄養素を含むフード(ビタミンE、オメガ3脂肪酸など)が予防に有効との報告あり


6. 【リンパ腫の治療方法】

◆ ① 化学療法(抗がん剤治療)

犬のリンパ腫治療の第一選択肢
多剤併用療法(CHOP療法)が一般的
寛解率が高い(約60~80%)が、完治は難しい

◆ ② 放射線治療

局所的なリンパ腫に有効
猫の鼻腔内リンパ腫などで使用されることが多い

◆ ③ 緩和ケア(対症療法)

痛みや不快感を軽減するための治療
食事療法やサプリメントの活用


7. 【まとめ】

🔹 リンパ腫は遺伝が関係する可能性があるが、100%遺伝するわけではない!
🔹 特定の犬種(ゴールデン・レトリーバーなど)は発症リスクが高い!
🔹 猫では、遺伝よりも猫白血病ウイルス(FeLV)が発症に関与!
🔹 環境要因や食事、免疫の低下も発症に影響を与える!
🔹 治療は抗がん剤が一般的で、寛解率は高いが完治は難しい!

リンパ腫は発症すると進行が早い病気ですが、早期発見・早期治療によって、より長く穏やかに過ごせる可能性があります。

特に、リンパ節の腫れに気づいたら早めに動物病院を受診し、適切な検査を受けることが大切です。愛犬・愛猫の健康を守るために、日々の健康チェックを欠かさないようにしましょう!

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