【動物病院ブログ】脳腫瘍で眼球が出る?症状や注意すべきポイント
犬や猫の脳腫瘍は、発見が遅れることが多く、さまざまな症状が現れます。その中で、「眼球が飛び出しているように見える」という症状が見られることがあります。
「目が以前より前に出ている気がする…」
「片方の目だけ異常に大きく見える…」
こうした変化に気づいたら、脳や目の病気の可能性も考えられます。本記事では、脳腫瘍と眼球突出の関係、その他の症状、早期発見の重要性について解説します。
1. 【脳腫瘍とは?】
脳腫瘍とは、脳内にできる腫瘍のことを指します。良性のものと悪性のものがあり、どちらも周囲の脳組織を圧迫してさまざまな神経症状を引き起こすことがあります。
犬や猫では、次のような脳腫瘍が多く見られます。
✅ 髄膜腫(ずいまくしゅ):脳を包む髄膜に発生し、比較的ゆっくり成長する
✅ 神経膠腫(グリオーマ):脳の支持細胞から発生し、進行が速い
✅ 下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ):ホルモンを分泌する下垂体に発生
✅ 転移性腫瘍:他の部位のがんが脳に転移するもの
2. 【脳腫瘍で眼球が飛び出して見える理由】
脳腫瘍の影響で、眼球が前に押し出されるように見えることがあります。この現象を**眼球突出(がんきゅうとっしゅつ)**といいます。
◇ 原因① 腫瘍が眼の奥を圧迫する
脳腫瘍が眼窩(がんか:眼球の奥のスペース)に広がると、眼球が押し出されることがあります。特に、前頭葉付近や視神経周辺に腫瘍ができた場合に起こりやすいです。
◇ 原因② 脳圧の上昇
脳腫瘍によって脳内の圧力(頭蓋内圧)が高まると、眼の血管や神経にも影響が及びます。その結果、眼球が前に押し出されてしまうことがあります。
◇ 原因③ 炎症や浮腫(むくみ)
脳腫瘍の影響で炎症が起こり、周囲の組織が腫れると眼窩のスペースが狭くなり、眼球が押し出されることがあります。
3. 【眼球突出以外に見られる症状】
脳腫瘍では、眼の異常だけでなく、さまざまな神経症状が現れることがあります。
◇ ① 視覚異常
✅ 物にぶつかるようになった
✅ 片目や両目の視力が低下
✅ 瞳孔の大きさが左右で違う(瞳孔不同)
◇ ② 行動の変化
✅ いつもと違う場所でじっとしている
✅ 名前を呼んでも反応が鈍い
✅ ぐるぐる同じ方向に回る
◇ ③ けいれん・ふらつき
✅ 突然けいれん発作を起こす
✅ まっすぐ歩けない、足がもつれる
これらの症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診することが大切です。
4. 【早期発見のポイント】
脳腫瘍は早期発見・早期治療が重要ですが、初期の症状は見逃されやすいため、日頃から注意深く観察することが大切です。
✅ 目の異常に気づいたら、写真を撮って記録する
✅ 視力低下や行動の変化をチェックする
✅ 定期的な健康診断を受ける(特にシニア期)
また、眼球突出がある場合は、脳腫瘍以外の病気(眼窩腫瘍、膿瘍など)も考えられるため、自己判断せずに獣医師に相談しましょう。
5. 【脳腫瘍の治療方法】
脳腫瘍の治療は、腫瘍の種類や進行度によって異なります。
◇ ① 外科手術
✅ 髄膜腫など、手術で取り除ける場合に選択
✅ 腫瘍が脳の深部にある場合は手術が難しい
◇ ② 放射線治療
✅ 手術ができない場合や、取り切れなかった腫瘍に適応
✅ 腫瘍の成長を抑える効果が期待できる
◇ ③ 薬物療法(ステロイド・抗がん剤)
✅ 腫瘍による炎症やむくみを抑えるために使用
✅ 抗がん剤は一部の腫瘍に有効(神経膠腫など)
治療の選択肢は、動物の状態や飼い主さんの希望に応じて決まるため、かかりつけの獣医師としっかり相談しましょう。
6. 【まとめ】
🔹 脳腫瘍が原因で眼球が突出することがある!
🔹 脳圧の上昇や腫瘍の圧迫が原因となることが多い!
🔹 眼の異常だけでなく、視力低下・行動変化・けいれんなどの症状も要注意!
🔹 早期発見のために、日々の観察と健康診断が大切!
🔹 治療は外科手術・放射線・薬物療法などを組み合わせる!
「目が出てきた?」と感じたら、すぐに動物病院へ!
脳腫瘍は進行すると治療が難しくなるため、早めの受診が愛犬・愛猫の健康を守る鍵となります。
気になる症状があれば、遠慮せずに獣医師に相談しましょう!
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レラ動物病院
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