犬や猫の耳の縁がカサカサしている? 〜腫瘍の可能性と対処法〜
犬や猫の耳の縁がカサカサしていたり、皮膚が硬くなったりしている場合、皮膚のトラブルや病気が隠れている可能性があります。特に、高齢のペットでは腫瘍が関係していることもあるため注意が必要です。今回は、耳の縁がカサカサする原因とその対処法について解説します。
1. 耳の縁がカサカサする主な原因
耳のトラブルは、単なる皮膚の乾燥から腫瘍などの病気まで、さまざまな原因が考えられます。
■ 皮膚炎やアレルギー
・アトピー性皮膚炎やアレルギー反応が原因で耳の縁が荒れることがあります。
・かゆみや赤みを伴うことが多く、耳以外にも症状が現れることがあります。
■ 紫外線の影響
特に白い被毛や薄い耳を持つ犬や猫は、耳の縁が日焼けしやすく、慢性的な炎症を起こすことがあります。
■ 外部寄生虫(ダニやノミ)
耳の周囲に寄生虫がつくと、皮膚がかゆくなり、かき壊してカサカサすることがあります。
■ 皮膚腫瘍
耳の縁に見られる腫瘍の中には、扁平上皮癌や血管腫といった悪性腫瘍が存在します。特に耳の先端にできるカサカサした皮膚病変は、腫瘍の初期症状である可能性があります。
2. 腫瘍の可能性がある症状
耳の縁のカサカサが以下のような特徴を伴う場合は、腫瘍の可能性があります。
- 皮膚が硬く盛り上がっている
- 出血が見られる
- 触るとしこりのようなものが感じられる
- かさぶたができて剥がれやすい
- 症状が片側の耳にだけ現れている
これらの症状が見られた場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
3. 耳の腫瘍の種類
耳の縁に発生しやすい腫瘍には、以下の種類があります。
■ 扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)
- 白い毛のペットや日光に多く当たる子に発生しやすい腫瘍です。
- 初期段階ではカサカサとした炎症のように見えますが、進行すると出血や潰瘍が見られます。
■ 血管腫(けっかんしゅ)
- 耳の先端や皮膚の薄い部分に発生することが多く、赤みや腫れが目立ちます。
- 悪性の場合は「血管肉腫」として進行し、転移のリスクが高くなります。
■ 皮膚肥満細胞腫
- 皮膚の表面にしこりとして現れることが多く、耳や顔にできることもあります。
- 触ると硬いしこりがあり、急に大きくなる場合は注意が必要です。
4. 診断方法
耳のカサカサが腫瘍かどうかを判断するには、以下の検査が行われます。
- 視診・触診:腫瘍の形状や硬さを確認します。
- 生検(バイオプシー):腫瘍の一部を切除し、より詳しく調べます。
5. 治療方法
腫瘍であると診断された場合、以下の治療が検討されます。
■ 外科手術
耳の腫瘍は、患部を切除することで完治を目指すことが一般的です。特に扁平上皮癌は早期発見であれば切除のみで再発リスクが低くなります。
■ 放射線治療
悪性腫瘍が広がっている場合や、切除が難しい場合に用いられます。
■ 抗がん剤治療
腫瘍のタイプや進行度に応じて、抗がん剤を併用することがあります。
6. 予防と早期発見のポイント
耳の腫瘍や皮膚病変は、早期発見と対策が重要です。
■ 紫外線対策
- 日差しの強い日は、帽子や日よけ効果のある衣服で耳を保護するのが効果的です。
■ 定期的な耳のチェック
- 耳の縁が赤くなっていないか、かさぶたができていないかをこまめに確認しましょう。
- 耳の異変に気づいたら、できるだけ早く動物病院を受診することが重要です。
7. まとめ
犬や猫の耳の縁がカサカサしている場合、皮膚炎や乾燥だけでなく、腫瘍の初期症状である可能性もあります。特に、白い毛の子や屋外で過ごす時間が長い子は、扁平上皮癌などのリスクが高いため注意が必要です。
早期に発見し、適切な治療を行うことで、ペットの健康を守ることができます。耳の異変に気づいたら、早めに動物病院にご相談ください。
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