【動物病院ブログ】犬や猫の腫瘍:同じ場所を刺激し続けると癌になる?
はじめに
犬や猫の皮膚にできものができると、「これって癌かもしれない?」と心配になる飼い主さんは多いでしょう。特に、同じ場所を繰り返し刺激していると、「刺激が原因で癌になるのでは?」と疑問に思うこともあるかもしれません。
今回は、犬や猫の腫瘍と慢性的な刺激の関係について、わかりやすく解説します。
1. 犬や猫にできる腫瘍の種類
犬や猫にできる腫瘍は、大きく「良性」と「悪性(癌)」の2種類に分けられます。
良性腫瘍
良性腫瘍はゆっくり成長し、周囲の組織に悪影響を及ぼさないものが多いです。代表的なものに以下があります。
- 脂肪腫(しぼうしゅ):皮下にできる柔らかいしこり
- 乳腺腫瘍(良性の場合)
- 皮膚組織球腫:若い犬に多く、自然に消えることが多い
悪性腫瘍(癌)
悪性腫瘍は増殖が速く、周囲の組織に浸潤したり、転移したりする可能性があります。
- 肥満細胞腫:犬に多く、炎症を起こしやすい
- 扁平上皮癌:紫外線や慢性的な刺激がリスクとなる
- 線維肉腫:皮膚や筋肉に発生しやすく、再発しやすい
2. 繰り返し刺激を受けると癌になる?
慢性的な刺激と腫瘍の関係
「同じ場所を繰り返し刺激すると癌になるのか?」という疑問について、完全に「なる」とは言えませんが、刺激が腫瘍のリスクを高める可能性はあると考えられています。
刺激が腫瘍に影響する例
- 首輪やハーネスの摩擦
- ずっと同じ場所がこすれることで炎症が起こり、皮膚の異常が発生することがあります。
- 長期間にわたり炎症が続くと、腫瘍ができる可能性も指摘されています。
- 舐め続ける・噛み続ける
- 犬や猫が特定の部分をしつこく舐めたり噛んだりすると、そこに慢性的な炎症が起こります。
- 炎症が続くと、組織が変化して腫瘍が発生しやすくなることがあります。
- ワクチン接種部位の腫瘍(注射部位肉腫)
- 特に猫では、ワクチン接種後の部位に慢性的な炎症が生じることで、「注射部位肉腫」と呼ばれる悪性腫瘍が発生することがあります。
- ただし、ワクチンの種類や接種回数によってリスクが変わるため、獣医師と相談しながら接種計画を立てることが大切です。
3. 飼い主ができる予防策
① 定期的に体をチェックする
愛犬・愛猫の皮膚をこまめにチェックし、しこりや赤み、腫れがないか確認しましょう。特に首輪やハーネスが当たる部分、よく舐める部分などは注意が必要です。
② 過度な舐め癖を防ぐ
ストレスやアレルギーなどで特定の部位を舐め続ける場合は、原因を特定し、適切な対策を講じましょう。エリザベスカラーや洋服で保護するのも一つの方法です。
③ 紫外線対策をする
扁平上皮癌は紫外線の影響を受けることがあるため、特に白い毛の犬や猫は、直射日光を避ける工夫をしましょう。
④ ワクチン接種後の経過観察
猫の場合、ワクチン接種後にしこりができたらすぐに獣医師に相談しましょう。
まとめ
犬や猫の皮膚にできる腫瘍は、刺激や慢性的な炎症が関与していることもあります。しかし、すべての刺激が必ず癌につながるわけではありません。
大切なのは、早期発見・早期対応です。日頃から愛犬・愛猫の体をよく観察し、異常があればすぐに獣医師に相談しましょう。
愛するペットが健康に長生きできるよう、日々のケアを大切にしてくださいね。
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