犬猫の腫瘍検査:細胞診(FNA)のメリットとデメリット

犬猫の腫瘍検査:細胞診(FNA)のメリットとデメリット

ペットを飼っていると、愛犬や愛猫の健康が気になりますよね。特に、しこりや腫れを見つけたときは、「これは腫瘍ではないか?」と不安になる飼い主さんも多いでしょう。
腫瘍の診断方法の一つに「細胞診(FNA:細針吸引生検)」があります。今回は、このFNA検査のメリットとデメリットについて解説します。


1. FNA(細針吸引生検)とは?

FNA(Fine Needle Aspiration:細針吸引生検)とは、細い針を使って腫瘍やしこりから細胞を採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査方法です。
人間の採血で使う針と同じくらいの細さの針を用いるため、体への負担が少なく、動物にも比較的やさしい検査方法とされています。


2. FNAのメリット

① 体への負担が少ない

FNAは細い針を使うため、一般的に鎮静や麻酔を必要としません。短時間で終わるため、動物へのストレスも最小限に抑えられます。

② すぐに結果がわかる

採取した細胞を顕微鏡で観察し、腫瘍の種類や良性・悪性の可能性を判断できます。動物病院によっては、その場で診断ができる場合もあります。

③ 費用が比較的安価

FNAは他の検査方法(組織生検など)と比べて費用が抑えられるため、初期診断の手段として有用です。

④ 繰り返し実施しやすい

しこりの経過観察が必要な場合、定期的にFNAを行い、細胞の変化を確認できます。


3. FNAのデメリット

① 確定診断ができない場合がある

FNAでは、腫瘍の細胞を採取するだけなので、腫瘍の全体像や細胞の配列などの情報は得られません。そのため、最終的な確定診断には組織生検(病理検査)が必要な場合があります。

② 正確な診断が難しいことがある

腫瘍によっては、FNAで採取した細胞だけでは良性か悪性かの判断が難しいこともあります。特に、しこりの一部しか採取できないため、悪性腫瘍でも「異常なし」と判断されるケースもあります。

③ 出血や炎症のリスクがある

細い針とはいえ、皮膚や腫瘍に針を刺すため、軽度の出血や炎症を引き起こす可能性があります。ただし、多くの場合は軽度であり、すぐに治まります。

④ しこりの場所によっては実施が難しい

FNAは、表面に近い腫瘍には適していますが、体の奥深くにある腫瘍では超音波などの画像診断を併用しないと難しいことがあります。


4. どんな場合にFNAを行うべき?

FNAは、以下のようなケースで特に有用です。

  • 突然しこりができた場合(腫瘍や炎症の可能性を調べるため)
  • しこりが短期間で大きくなってきた場合(悪性腫瘍の可能性を考慮)
  • 以前からあるしこりの変化を確認する場合(腫瘍の進行や変化をチェック)
  • 手術をする前に腫瘍の性質を知りたい場合(良性か悪性かの予測)

FNAで診断がつかない場合は、追加で組織生検やCT検査などを行い、詳しく調べる必要があります。


5. まとめ

FNA(細針吸引生検)は、犬や猫の腫瘍を調べるための有用な検査方法です。体への負担が少なく、比較的簡単に実施できる一方で、確定診断が難しいケースもあります。
愛犬や愛猫の健康を守るために、しこりを見つけたら早めに動物病院で相談し、適切な検査を受けることが大切です。

ペットの健康管理には、定期的な健康診断も欠かせません。気になることがあれば、ぜひお気軽に獣医師にご相談ください!

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