イボが悪性化することはあるの?犬と猫の皮膚腫瘍について

イボが悪性化することはあるの?犬と猫の皮膚腫瘍について

はじめに
犬や猫の皮膚にできる「イボ」を見つけると、「これは悪いものではないか?」と心配になる飼い主さんも多いでしょう。特に高齢のペットでは、皮膚にできものが増えることがあります。

では、これらのイボが悪性化することはあるのでしょうか?また、どのような特徴に注意すればよいのでしょうか?この記事では、犬や猫の皮膚にできるイボと腫瘍の違い、悪性化の可能性、動物病院での診断・治療方法について詳しく解説します。


犬と猫のイボとは?

イボ(皮膚の小さなできもの)は、主に以下のような原因で発生します。

  • 皮膚の老化:加齢とともに皮膚にできる良性の腫瘍や角化異常
  • ウイルス感染:特に犬では、パピローマウイルスによるイボ(乳頭腫)が見られる
  • 皮膚の摩擦や刺激:特定の部位に慢性的な刺激が加わることで発生

多くのイボは良性であり、命に関わることはほとんどありません。しかし、中には腫瘍と見分けがつきにくいものもあります。


イボが悪性化する可能性はあるのか?

結論から言うと、良性のイボが時間の経過とともに悪性腫瘍に変化することはほとんどありません。しかし、見た目が似ていても、最初から悪性の腫瘍である可能性はあります。

以下のような変化が見られた場合は注意が必要です。

危険な兆候

  • 急激に大きくなる
  • 色が黒くなったり、まだら模様が出てくる
  • 表面がただれたり、出血する
  • 触ると硬く、周囲の皮膚とくっついている
  • かゆみや痛みを伴う

これらの症状がある場合、イボではなく**皮膚がん(悪性腫瘍)**の可能性があります。特に、皮膚の扁平上皮癌や肥満細胞腫などは、初期の見た目がイボに似ていることがあるため注意が必要です。


犬と猫に多い皮膚腫瘍

犬の場合
犬では、皮膚腫瘍の中で比較的多いのが以下のものです。

  • 脂肪腫:良性の腫瘍で、柔らかくて皮下にあることが多い
  • 乳頭腫(パピローマウイルス):若い犬にできやすいが、自然に消えることもある
  • 肥満細胞腫:悪性の可能性があるため注意が必要
  • 扁平上皮癌:紫外線の影響で発生することがあり、進行すると皮膚の潰瘍ができる

猫の場合
猫では、以下の腫瘍がよく見られます。

  • 扁平上皮癌:特に白い毛の猫に多く、耳や鼻の皮膚にできやすい
  • 肥満細胞腫:犬よりも猫のほうが良性であることが多い
  • 基底細胞腫:比較的良性の腫瘍だが、大きくなることがある

動物病院での診断と治療

ペットの皮膚にできものを見つけたら、まずは獣医師に相談しましょう。診察では、視診や触診を行い、必要に応じて追加の検査が行われます。

診断方法

  • 視診・触診:大きさ、形、色、硬さなどをチェック
  • 細胞診:細胞を採取して顕微鏡で観察(針を刺して調べる検査があるが、ここでは詳しく触れません)
  • 生検(組織検査):一部を切除して詳しく調べる

治療方法は腫瘍の種類によって異なります。

  • 良性の場合:大きくならなければ経過観察が可能
  • 悪性の疑いがある場合:外科的切除が推奨されることが多い
  • 進行性の悪性腫瘍の場合:手術、抗がん剤、放射線治療を検討

飼い主さんができること

ペットの皮膚の状態を日頃からチェックすることが大切です。

  • 定期的に体を触ってしこりがないか確認
  • できものの大きさや色の変化を記録(写真を撮るのもおすすめ)
  • 異常を感じたら早めに動物病院を受診

特にシニア期に入ったペットでは、皮膚のしこりが増えることがあるため、半年〜1年に1回の健康診断を受けるのもよいでしょう。


まとめ

犬や猫のイボは多くの場合良性ですが、まれに悪性腫瘍が似たような見た目で発生することがあります。良性のイボが悪性化することはほぼありませんが、見分けがつかない場合もあるため注意が必要です。

飼い主さんができものを見つけたときは、慌てずに様子を観察し、気になる変化があれば早めに動物病院で診てもらいましょう。適切な診断と治療を受けることで、ペットの健康を守ることができます。

ペットの皮膚の変化に気を配り、健康で快適な生活をサポートしてあげましょう!

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