膝蓋骨外方脱臼とは?

膝蓋骨外方脱臼とは?

膝蓋骨外方脱臼(Lateral Patellar Luxation)は、犬や猫の膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置から外れてしまう疾患です。特に小型犬に多く見られる膝蓋骨内方脱臼とは異なり、外方脱臼は比較的大型犬に多いとされています。この疾患は放置すると歩行困難や関節炎を引き起こすため、早期発見と適切な治療が重要です。


好発犬種

膝蓋骨外方脱臼は、以下の犬種で比較的多く見られます。

大型犬種

  • ラブラドール・レトリーバー
  • ゴールデン・レトリーバー
  • ボーダー・コリー
  • シェットランド・シープドッグ
  • グレート・デーン
  • スタンダード・プードル
  • シベリアン・ハスキー
  • ジャーマン・シェパード

小型犬種

  • ポメラニアン
  • チワワ
  • トイ・プードル
  • ミニチュア・シュナウザー
  • ヨークシャー・テリア
  • パピヨン
  • フレンチ・ブルドッグ
  • キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

小型犬でも発症することがあり、特に骨格が華奢な犬種では注意が必要です。


膝蓋骨外方脱臼の原因

膝蓋骨外方脱臼の主な原因は、先天性と後天性の2つに分けられます。

1. 先天性の要因

  • 遺伝的要因:生まれつき膝関節の構造に異常がある場合、膝蓋骨が脱臼しやすくなります。
  • 骨の形成異常:大腿骨の形状異常や筋肉のバランスの崩れが影響を与えます。

2. 後天性の要因

  • 外傷や事故:ジャンプや転倒などの強い衝撃が膝関節に加わると、膝蓋骨が脱臼することがあります。
  • 過度な運動:特に成長期に過度な運動をすると、関節に負担がかかり、脱臼しやすくなります。
  • 加齢による関節の変形:年齢とともに関節の軟骨がすり減り、膝蓋骨の安定性が低下します。

膝蓋骨外方脱臼の症状

膝蓋骨外方脱臼の症状は、軽度から重度までさまざまです。以下のような兆候が見られる場合は、注意が必要です。

  • スキップするような歩き方をする
  • 突然足を引きずるようになる
  • 座ったときに足を伸ばしづらそうにする
  • 運動後に痛がる、または歩くのを嫌がる
  • 後肢の筋肉が衰えてくる

症状が軽度の場合、一時的に元に戻ることがありますが、放置すると悪化する可能性があるため、早めの診察が推奨されます。


診断方法

膝蓋骨外方脱臼の診断には、以下のような方法を用います。

  • 触診:膝蓋骨の位置や関節の安定性を確認します。
  • X線検査(レントゲン):骨の変形や関節の異常を詳しく評価します。
  • 関節の可動域テスト:膝の曲げ伸ばしを行い、脱臼の程度を確認します。

膝蓋骨脱臼は、グレード1から4までの4段階に分類され、重症度に応じて治療方針が決まります。


治療方法

膝蓋骨外方脱臼の治療には、保存療法(手術をしない治療)と外科手術の2つの方法があります。

1. 保存療法(軽度の場合)

  • 体重管理:適正体重を維持し、膝関節への負担を減らします。
  • リハビリテーション:ストレッチや水中療法で筋肉を強化し、関節の安定性を高めます。
  • サプリメントの使用:グルコサミンやコンドロイチンなどの関節ケアサプリメントを取り入れることも有効です。
  • 痛み止めの投与:症状が出ている場合、抗炎症薬を使用することもあります。

2. 外科手術(重度の場合)

グレード3以上の重度の膝蓋骨外方脱臼では、手術が推奨されます。

  • 骨の矯正手術:大腿骨の形状を調整し、膝蓋骨の位置を安定させます。
  • 関節包の縫縮術:緩んだ関節包を引き締め、膝蓋骨がずれないようにします。
  • 滑車溝形成術:膝蓋骨が正しい位置に収まるように、骨の溝を深くする手術です。

手術後はリハビリが重要で、適切なケアを行うことで回復が早まります。


予防と日常ケア

膝蓋骨外方脱臼を予防するためには、日常のケアが重要です。

  • 適度な運動を心がける:過度なジャンプや激しい運動を避け、関節に優しい運動を行う。
  • 床の環境を整える:滑りやすい床にはマットを敷き、関節への負担を軽減。
  • 体重管理を徹底する:肥満は関節に負担をかけるため、適切な食事管理を行う。
  • 定期的な健康診断を受ける:膝関節の状態を定期的にチェックし、早期発見に努める。

まとめ

膝蓋骨外方脱臼は、軽度のうちは気づきにくいですが、放置すると関節炎や歩行困難につながる可能性があります。ペットの歩き方や動作に異常を感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。

当院では、膝蓋骨外方脱臼の診察や治療を行っています。ペットの健康に関するご相談があれば、お気軽にお問い合わせください!

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